モチベーションを常に一定に保つ必要は「ない」
医学部を目指す受験生からは、勉強面以外にも様々な悩みの相談を受けます。中でも「モチベーションが保てない」というのは、よくある相談のうちのひとつです。
「どうしたらモチベーションを保つことができるのか」、これに対する回答はいたってシンプルです。結論からいうと、モチベーションを常に一定に保つことはできません。
人間誰しも、体調や気分に波があるのは当然です。常に同じテンションを保てる人、やる気が毎日みなぎっているなんて人をわたしは見たことがありません。
「モチベーションが上がらない」「今日は何だかやる気がでない」というのは当然のことであり、直す必要はありません。
では何が問題なのかというと、「モチベーションを勉強しないことの言い訳に使ってしまっている」ということです。
例えば、毎日手術の予定が入っている外科医がいるとします。この外科医がその日の気分で「今日は何となくやる気がでない。手術は明日に延期だ!」と言い出したら大変なことになりますよね。どんなに気分がさえなくても、外科医は手術をやらなくてはいけません。
医学部受験生も同じです。長い受験生活においてモチベーションが低い日があるのは当たり前のことです。モチベーションが上がらないことを言い訳にせず、淡々と一定のリズムで毎日勉強することが大切です。
「好きだから」ではなく、「必要だから」勉強するという意識
医学部受験生の中で「受験勉強が大好きだ」という人はどれくらいいるでしょうか。経験から言うと、そんな人はほとんどいません。
医学部受験は出題科目が多く、習得しなければいけない量も膨大です。どの科目も完成度を上げる必要があるため、好きな教科や単元だけをやっても絶対に合格できません。
どんなに嫌いな科目でも興味のない分野でも、「医学部合格に必要なことだから」と割り切って勉強することも必要となります。
モチベーションに左右されなくなるカギは「習慣化」
ただ、そうは言っても、モチベーションが上がらない中で興味もない勉強をするというのは、簡単なことではないでしょう。ここでカギとなるのが「習慣化」です。
人は一度習慣化したことは、やらないとかえって違和感を抱く、という習性があります。
例えば、「歯を磨く」という行為を考えてみてください。わたしは「歯を磨く」ことに楽しみを感じたことが一度もありませんが、それでも歯を磨かなかった日はありません。
一度習慣化してしまったために、「歯を磨かない」日は違和感があり、やらずにはいられなくなったということですね。
習慣化はすぐにできるものではないので、1ヵ月、2ヵ月と毎日勉強する必要がありますが、勉強を習慣づけていくと「勉強していないと違和感がある」と感じるようになります。この状態を作り出すことができたらこちらのものです。
最初は勉強が辛い、他のことをしたいと感じるかもしれませんが、一度習慣化すればモチベーションに左右されず机に向かうことができます。
【執筆】綿谷 もも
医学部医学科卒。数学が大の苦手で、高3の冬に受けた模試では偏差値39を取ってしまうほど。エースアカデミーで1年間浪人し、センター試験本番で90%以上を達成、関東の難関国立医学部、難関私立医学部に合格。
医学部入学後はエースアカデミーの医学生講師として6年間受験生を指導し300人以上の医学部合格に貢献。その経験をもとに、医学部在学中に書籍『医学部受験バイブル 現役医大生からの贈り物』を執筆、出版。将来の夢は小児科医。アイドルと猫が好き。
【監修】高梨 裕介
医学部予備校エースアカデミー 塾長、医師
医師/大阪医科大学卒、初期研修修了後に創業。
中学受験経験(灘、東大寺、洛南、洛星中学に合格)。
自身の医学部受験の反省を活かし、350名以上の医学部合格者を指導。医学部合格のためのよりよい指導をより安く提供することを理念としてエースアカデミーを設立。