“毎年100万円”子の口座に入金→税務調査官「これは贈与じゃないですね」…親心が仇となり「追徴課税900万円」のワケ【税理士が警告】

“毎年100万円”子の口座に入金→税務調査官「これは贈与じゃないですね」…親心が仇となり「追徴課税900万円」のワケ【税理士が警告】
(※写真はイメージです/PIXTA)

相続税対策の定番である「年110万円以下の生前贈与」。しかし、安易な生前贈与によって、子どもが「多額の追徴課税」を受けてしまう場合もあると、多賀谷会計事務所の現役税理士・CFPの宮路幸人氏は警告します。その理由と、生前贈与の注意点をみていきましょう。

生前贈与が「名義預金」とみなされないために

それでは、生前贈与が名義預金とみなされず、相続税対策としてきちんと機能するには、どのような対策を行えばよいのでしょうか? 考えられることとしては、主に下記の5つが挙げられます。

 

1.「贈与契約書」を作成する

贈与契約は民法上、口頭でも成立します。このため、契約書がなくても贈与契約は成立しますが、税務調査対策としては、生前贈与を行う際に「贈与契約書」を作成しておくといいでしょう。

 

この際、できれば公正証書で確定日付を取っておくと、証拠力として客観性を高めることができます。また、贈与者・受贈者がそれぞれ自署、押印(できれば実印)できることが望ましいです。

 

2.贈与にともなう資金の移動は“預金口座間”で実施する

現金の受け渡しによる贈与でなく、口座振込の贈与であれば、資金の流れが明瞭になります。

 

3.通帳やカードの管理は受贈者(子ども)自身が行う

贈与をする親としては、「進学や結婚など、本当に必要なときにこのお金を使ってもらいたい」「子どもに伝えると、勘違いして無駄遣いするかもしれない」と心配してしまうでしょうが、内緒のままでは先述したように「名義預金」であるとみなされてしまいます。

 

したがって、内緒で行いたいという気持ちは理解できますが、生前贈与を行う際には子どもにもその旨を伝え、通帳やカードの管理は子ども自身が行うようにしましょう。

 

4.毎年同じ額の贈与は避ける

毎年110万円以下の贈与を、毎年同じ額で同じ日に贈与するというのは避けてください。これは、「定期金に関する権利」の贈与を受けたと判断されることがあるためです。

 

たとえば、「総額1,100万円の贈与を、ただ10分割しているだけ」と判断された場合、合計額に贈与税が課税されることがあります。したがって、毎年贈与する日付や金額を変えたほうがよいでしょう。

 

5.あえて贈与税を納税する

贈与税の基礎控除は110万円ですから、110万円以下であれば贈与税を支払う必要はありません。しかし、ある年にはあえて110万円を超える額を贈与し、納税を行うことで、贈与が行われているという証拠を残す方法もあります。

 

贈与税の税率は200万円までは10%ですから、たとえば300万円贈与した場合の贈与税額は贈与額300万円-基礎控除110万円=190万円×10%=贈与税額19万円と、比較的負担は少なく済みます。

 

追徴課税を防ぐために「客観的に認められる証拠」を残す

安易に「贈与税は110万円までかからない」と思い、子に内緒で贈与している親も多いでしょうが、本件のようにいざ調査となると、多額の追徴税額が発生することがあります。

 

税務調査で贈与が認められなかった場合、本税のほか「過少申告加算税」として本税に対し10%~15%ペナルティとしての加算税がかかりますし、故意に名義預金を作り悪質であると判断された場合、35%の重加算税を課税されることもあります。

 

贈与を行う場合は、上記のポイントを踏まえ、客観的に認められる証拠をきちんと残しておくよう注意しましょう。

 

 

宮路 幸人

多賀谷会計事務所

税理士/CFP

 

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税務調査を録音することはできるか?
相続税の「税務調査」の実態と対処方法

 

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