“毎年100万円”子の口座に入金→税務調査官「これは贈与じゃないですね」…親心が仇となり「追徴課税900万円」のワケ【税理士が警告】

“毎年100万円”子の口座に入金→税務調査官「これは贈与じゃないですね」…親心が仇となり「追徴課税900万円」のワケ【税理士が警告】
(※写真はイメージです/PIXTA)

相続税対策の定番である「年110万円以下の生前贈与」。しかし、安易な生前贈与によって、子どもが「多額の追徴課税」を受けてしまう場合もあると、多賀谷会計事務所の現役税理士・CFPの宮路幸人氏は警告します。その理由と、生前贈与の注意点をみていきましょう。

親心でせっせと生前贈与も、「追徴税額900万円」

税務調査でよく追徴税額が発生するものとして、相続人に対する「生前贈与」が挙げられます。

 

資産家のAさん(70代・男性)は、知人から「相続税対策のために、毎年110万円以下の生前贈与を続けるといいよ」と聞き、3人の子どもには内緒でそれぞれの口座に毎年100万円ずつ、10年間預け入れを行いました。

 

その後Aさんが亡くなり、無事節税になったかと思いきや、相続税の税務調査で「この3,000万円は、贈与じゃないですね。単なる“名義預金”です」と指摘されてしまいました。そのため、子どもたちは追徴税額900万円のほか、加算税等を含めると1,000万円以上の税金を支払うことになってしまったのです。この生前贈与は、なぜ認められなかったのでしょうか?

 

税務調査官は、対象者の「預金口座の動き」を注視している

税務調査官が重点的に調べる項目のひとつに、「銀行預金」があります。税務調査に訪れる際には、亡くなった方(以下、「被相続人といいます」)の預金口座の動きをおおむね10年ほど調査してから来るのです。

 

税務署はその職務上、被相続人と相続人の預金口座の詳細を知る権限を持っているため、もしも被相続人の預金口座から大きな引出しがある場合は疑われやすくなります。

 

「これは相続人に対する贈与ではないか?」「名義預金ではないか?」もしくは「タンス預金として家のなかにあるのではないか?」と目をつけられ、税務調査が行われることになるのです。

生前贈与は「子に内緒」では成立しない

「贈与」とは無償で財産を与える契約のことを指します。したがって、契約であるからには、当事者間において「あげます」「もらいます」という両者の合意が必要です。贈与者のみによる一方的な意思表示のみでは、贈与は成立しません。

 

「“なにもしなくても財産が手に入る”と思わせるのは教育上好ましくない」「無駄遣いしてほしくない」といった親心から、今回のケ-スのように子には内緒で本人名義の口座を作成し、毎年一定額を預金口座に振り込んでいるケースは少なくありません。しかし、これでは残念ながら贈与としては認められないこととなります。

 

子どもたちに「贈与を受けている」という認識がなく、通帳の管理なども親が行っている場合、単に子や孫から名義を借りただけで実質的には本人の財産である「名義預金」とみなされることがあります。こうなると、生前贈与はすべて無効となり、相続財産に加算されることになります。

 

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