年金の平均月額17万円だが…50代サラリーマン「いつまで働けばいいのか」の嘆き節〈老後の準備、親の話は参考にしてはならない〉厳しすぎる理由

年金の平均月額17万円だが…50代サラリーマン「いつまで働けばいいのか」の嘆き節〈老後の準備、親の話は参考にしてはならない〉厳しすぎる理由
(※写真はイメージです/PIXTA)

現役時代は働きに見合った給料をもらい、老後になれば、過去の収入に応じた年金がもらえる…。実際に多くの人たちの老後生活を支えている公的年金だが、これから老後を迎える人たちは、過度な期待をするのは禁物だ。厳しい状況をみていく。

老後の生活資金、20代でも「年金」を挙げる人が約半数

現在の日本に暮らす人たちのなかで、自分の老後資金について「心配ない」と言い切れる人は、決して多くはない。

 

金融広報中央委員会『家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](2022年)』によると、老後の生活について、「それほど心配していない」が21.5%、「心配である」が78.5%。年代別にみても、20代~60代まで7~8割が「心配」と回答している。「心配していない」の割合が最も高いのは70代だったが、それでも32.8%に過ぎない。

 

そんな「老後の生活資金」だが、どのようにして得ることを想定しているかというと、やはりというべきか、最多は「公的年金」の68.8%だった。次いで「就業による収入」48.1%、「企業年金、個人年金、保険金」が35.9%、「金融資産の取り崩し」が27.1%となっている。

 

では、「年金に期待」している割合を年齢別にみていくと、「20代」は47.4%、「30代」は49.1%、「40代」は58.2%、「50代」は65.7%、「60代」は80.8%、「70代」は86.1%となっている。

 

70代と20代の乖離を見れば、若い人ほど「公的年金」に期待していないと解釈することもできるが、それでも、20代、30代の半分弱は、なお「公的年金」をよりどころとしているということか。

将来的な年金の減額は「ほぼ確定」だが…

厚生労働省『令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、国民年金受給者(国民年金のみ受け取る人)の平均年金受給額は月額5万6,479円。厚生年金受給者(国民年金と厚生年金を受け取る人)の平均年金受給額は14万5,665円。この数字には繰上げ受給分も含まれているため、65歳以上に限って見てみると、16万9,006円となっている。

 

元会社員であれば、月17万円の年金で手取り14万円程度。多くのシニアは、このお金で老後生活の基盤を支えることになる。

 

一方、総務省家計調査によると、65歳以上の高齢者の1ヵ月の生活費(消費支出)は14万円程度。平均値ではあるが、ちょうど年金で帳尻が合う計算だ。

 

ただ、年金を受け取り始める65歳における年金額が、現役世代の手取り収入額と比較してどのくらいの割合かを示す「所得代替率」を見ると、20年後には2割ほど下がることが確実視されている。つまり、20年後には年金が2割目減りする。

 

とはいえ、あくまでも推測値なので、絶対的なものではない。今後、経済が予想以上の回復を見せれば、年金の支給額も大幅に増加するかもしれない。もちろん、その逆の可能性もある。

 

ただ、日本経済の懸念事項として思い出してほしいことがある。すさまじいスピードで進展する少子化だ。日本政府も少子化対策については緊急の課題として取り組んでいるが、回復は容易ではない。当然だが、少子化が進展すれば年金の目減りも加速する可能性が極めて高く、少子化同様、「予想を大きく超える目減り」も十分考えられるといえる。

 

「100年安心」といわれた年金だが、これは現在と同水準の年金支給を保証するものではなく「100年後も年金制度が維持できる」という話に過ぎない。

 

中堅企業に勤める50代の男性会社員は嘆く。

 

「80代で亡くなった私の父親は、どこにでもいるサラリーマンでした。それでも専業主婦の母と私たちを養い、それなりの資産を築いて、老後は安泰だったのです。それに引き換え、私たちの世代は…」

 

この男性の父親世代が現役で働いてきた社会情勢といまでは、大きな乖離がある。80代の人たちが行ってきた老後準備は、これから老後生活に入る人たちにとって、なんの参考にもならないだろう。60代でのリタイアも、優雅な年金生活も、実現するのは簡単ではない。いつまで働けばいいのか。これはまさに、老後に不安を覚える人たちのホンネであり、総意だろう。

 

これから日本で老後生きる人たちは、年金制度への過度な依存をすることなく、自身の手で資産形成を行い、少しでも長く働くといった手段をとることが、有効だといえるだろう。

 

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