◆相続人のための相続税納税資金の確保
第二に、不動産を相続した相続人は相続税を納税しなければならなくなることがありますが、その納税資金を確保しなければならないという問題です。
もし、相続人が納税資金を準備できなければ、結局はマンションを売却せざるをえなくなる可能性があります。
このように、自身が亡くなったあと、家族のために相続税の負担を軽減してあげようと不動産を購入する場合には注意が必要です。そうすることがかえって相続人の争いを誘発したり、相続人を経済的苦境に追いやったりすることになる可能性があるからです。
「相続税の負担軽減」以外の問題にも対処するための2つの方法
それではどうすればよいのでしょうか。
まず、相続争いの抑止のためには、財産をあらかじめ公平に分けやすい形にしておくことが有効です。
次に、特定の相続人が多額の相続税の納税に苦しむリスクも抑えることができます。
有効な方法として、たとえば、以下の2つが考えられます。
1. 不動産小口化商品を購入する
2. 生命保険に加入し受取人を「不動産を相続させる人」にする
一つめの「不動産小口化商品」は、都心や一等地のマンション等の土地・建物を「1口100万円」「500万円」などと細分化したものです。こうしておけば、相続人の間で公平に分けることが容易です。
これらは、ふつうの不動産の賃料に相当するものとして、購入口数に応じた「配当金」を受けることができます。
なお、「生前贈与」(暦年贈与等)と併用すれば、相続人が配当金を受け取れるので、相続税の納税資金準備にも役立ちます。
特に「任意組合型」の商品や「不動産小口信託受益権」であれば、税制上は通常の不動産と同様に扱われます。
二つめの方法は、特に、分割困難な不動産がある場合に有効な方法です。生命保険に加入し、受取人を、その不動産を相続させる人にするのです。なお、その前提として、不動産を誰に相続させるのか、遺言で決めておく必要があります。
生命保険の死亡保険金は、民法上は受取人の固有の財産として扱われます。したがって、不動産を相続した人は、その保険金を、他の相続人に対する代償金や、相続税の納税資金に充てることができるのです。
このように、自身が亡くなった後の相続税の負担軽減のために不動産を購入する場合は、相続人の間の公平や、相続税の納税資金確保といった問題にも気を配り、あらかじめ適切な対策をとっておくことも重要です。
税務調査を録音することはできるか?
相続税の「税務調査」の実態と対処方法
カメハメハ倶楽部セミナー・イベント
【12/10開催】
相続税の「税務調査」の実態と対処方法
―税務調査を録音することはできるか?
【12/10開催】
不動産「売買」と何が決定的に違うのか?
相続・事業承継対策の新常識「不動産M&A」とは
【12/11開催】
家賃収入はどうなる?節目を迎える不動産投資
“金利上昇局面”におけるアパートローンに
ついて元メガバンカー×不動産鑑定士が徹底検討
【12/12開催】
<富裕層のファミリーガバナンス>
相続対策としての財産管理と遺言書作成
【12/17開催】
中国経済×米中対立×台湾有事は何処へ
―「投資先としての中国」を改めて考える