前回は、投資マンションの「空室」による具体的な損失金額について説明しました。今回は、投資用物件は利回りよりも「資産価値」を重視すべき理由を見ていきます。

どんなに良い物件にも「空室」のリスクは存在

入居者がすぐ決まるかどうかは、周辺の賃貸物件の数にも影響を受けます。

 

私自身が所有している物件では、無理をせず適正な賃料で入居者の募集を行うようにしています。そのため、空室になってもすぐに次の入居者が決まります。ところがあるとき、1カ月経っても1件も賃貸申込が入らない物件がありました。

 

「丸ノ内線の駅から徒歩5分、超都心の住みやすい物件なのになぜ?」

 

確かに、前入居者の退去が3月末、募集が4月中旬からとなってしまい、募集のタイミングはあまりよくありませんでした。

 

しかし、さらに調べると、周辺に良い物件が増えていることがわかったのです。

 

少し賃料を下げてそのまま募集してもよかったのですが、将来的にも同様の懸念が消えないことを考え、思い切って売却活動も並行して行いました。その結果、1カ月も経たないうちに適正価格以上での売却先が見つかったので、売却して他のエリアの投資用物件を購入し、物件の入れ替えを行いました。

 

いくら立地のよい場所でも、周辺に同等の物件が増えれば、投資用としては空室リスクが高くなる、あるいは(家賃を下げることで)収益性が低くなります。その場合にすぐ物件を売って入れ替えることができる、つまり換金性が高いことも大切なのです。

 

もちろん、私がお勧めしている投資の目的は売却益(キャピタルゲイン)ではなく、将来的に安定した家賃収入(インカムゲイン)を得ることです。

 

しかし、いざ売却したいと思ったときに、すぐに売れるような高い換金性の物件を選んでおくことで、より安全で効率的な資産形成が可能になります。

旧耐震基準の物件、郊外の物件は投資対象から外す

投資用物件の購入を検討する場合、その物件の「利回り」がいくらなのか、つまりどれくらい儲かる物件なのか、ということに注目が集まりがちです。

 

しかし、継続的に安定した家賃収入を得ようとする場合、重視すべきなのは利回りよりも資産価値です。そのため、旧耐震の物件や郊外の物件は投資対象から外しています。

 

●旧耐震物件

旧耐震物件とは、昭和56年以前の旧耐震基準で建築された建物のことです。阪神・淡路大震災の被害状況で見ると、旧耐震の建物は30%弱が大破以上の壊滅的な被害を受けたのに対し、新耐震の建物で大破以上の被害を受けた例はほとんど報告されていません。

 

物件を貸し出す場合、オーナーにはその安全性に対して責任が生じます。

 

もし地震が起こって被害が出た場合、建物の被害は火災保険付帯の地震保険である程度カバーできますが、入居者に被害が及んだ場合は金銭的な賠償では取り返しがつきません。

 

●郊外物件

郊外の物件や、都心でも駅から15分以上歩くような物件には、安くて高利回りのものもあります。

 

現在の人口動態では、明らかに都心にどんどん人が集中して、郊外は人が減っています。また、住宅も都心に集中して建設が進んでいます。今は郊外で部屋を借りている人でも、都心駅近で住みやすい物件が借りられるようになれば、便利な都心で借りたいと思うでしょう。

 

借り手の減った地域では、将来的には賃料を安くしても部屋が埋まらなくなり、投資用の価値がなくなる物件が増えていく可能性があります。いくら利回りの高い物件でも、空室リスクの高さを考えると怖くてお勧めできません。

本連載は、2016年6月30日刊行の書籍『働く女性たちへ 今すぐマンション投資を始めなさい』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

働く女性たちへ 今すぐマンション投資を始めなさい

働く女性たちへ 今すぐマンション投資を始めなさい

梅田 圭子

幻冬舎メディアコンサルティング

生き方が多様化し、ひとりで生きることを選ぶ女性も増えています。 自由気ままに生きているように見える彼女たちですが、実は将来への「漠然とした不安」が尽きないのが実態です。著者自身も、忙しく働くなかで漠然と不安を感…

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