(※写真はイメージです/PIXTA)

2020年5月に「デジタル証券」という概念が金融商品取引法に追加されてから、3年が経ちます。その間に、資産運用ツールを提供する証券業界はどう動き、そして、投資家の資産づくりの世界はどう変わったのでしょうか。Hash DasH株式会社取締役の三好美佐子氏が、そんなデジタル証券市場のイマを解説します。

デジタル証券なら、万が一関連会社が倒産しても安心

3.スキームの安全性

もうひとつ忘れてはいけないのが、「スキームの安全性」です。

 

デジタル証券では販売会社や運用会社などの関係会社が倒産しても、投資対象物件が差し押さえられることがないスキームとなっています。この「倒産隔離」措置はクラウドファンディングでは義務化されていませんが、金融庁管轄下のデジタル証券では必須です。

 

このように、いままでは機関投資家や富裕層にしか提供されなかった投資対象、株式とも債券ともリスク特性が違う不動産投資がグッと身近に、しかも安全な形で個人投資家に提供されるようになりました。

“大手の独壇場”に変化…商社勢もデジタル証券に進出

これまでの3年間、大手証券会社の独壇場だったデジタル証券の市場に、2023年6月、新しい風が吹き込みました。

 

「三井物産デジタル・アセットマネジメント」「丸紅アセットマネジメント」、商社勢のデジタル証券進出です。従来の証券会社枠を出て、新しい投資家に向けてのすそ野の広がりを期待させる動きでもあります。

 

三井物産デジタル・アセットマネジメントはこれまでも運用会社として、大手証券会社の販売によるデジタル証券を発行してきました。このたび、自社サービス「ALTERNA(オルタナ)」として、個人投資家向けに販売を始めています。また、丸紅アセットマネジメントは運用会社として初めてデジタル証券を発行、販売は大手オンライン証券に委託しています※1、※2

 

また、それに加えて、スタートアップ企業(証券会社)ではHash DasH株式会社※3が唯一参戦。不動産デジタル証券の取扱いを始めました。東海東京証券が共同して販売するほか、初めて地域に密着した金融機関との協働として「浜松いわた信用金庫」の顧客紹介を受けての募集活動をします。

 

今後、大手証券会社だけではなく、商社などの異業種やスタートアップといった取扱い事業者の裾野が広がりをみせるでしょう。その結果、投資家の方々にとってより利便性の高い市場に成長していくことができるか、注目です。

 

<参考>
※1 三井物産デジタル・アセットマネジメント株式会社(
https://corp.mitsui-x.com/

※2 丸紅アセットマネジメント株式会社(https://www.marubeni-asset.com/

※3 Hash DasH(https://www.hashdash.co.jp/

 

 

三好 美佐子

Hash DasH株式会社

取締役

 

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