(※写真はイメージです/PIXTA)

親がまとまった額の資産を持っている場合、相続税がかかる可能性があります。そこで、あらかじめ可能な範囲で相続税対策をとっておく必要があります。特に、できるだけ早くから始めたいのが「暦年贈与」です。フリーライターの永峰英太郎氏が、親から実家等の財産を相続した際の経験をもとに、著書『親の家を売る。──維持から売却まで、この1冊で大丈夫!』(自由国民社)より、失敗談もまじえて解説します。

相続税がかかりそうならば、「小規模宅地等の特例」が使えるかチェックする

親の財産を大まかにチェックし、相続税が発生しそうであれば、「小規模宅地等の特例」が使えるのかどうかも確認しましょう。

 

この特例は、亡くなった人が住んでいた宅地(330㎡まで)を相続したとき、相続税の計算時、その宅地の課税価格を80%減額する制度です。

 

親が亡くなり、子供が相続する際、この特例を使うには、ある条件があります。

 

親の家を相続する人は「相続開始前の3年間、本人または配偶者が所有する不動産に住んでいなかった親族」に限られるという条件です。要するに「持ち家がない」ということです([図表4]参照)。

 

[図表4]「小規模宅地等の特例」が使える条件

 

◆「小規模宅地等の特例」の恩恵は大きい

筆者の父の死亡時、筆者は賃貸の家に住んでいました。そのため、この特例を使うことができました。

 

我が家の場合、暦年贈与による対策を行っていなかったので、本来ならば約380万円の相続税がかかるはずでした。しかし、この特例を使ったおかげで、約26万円で済みました。

 

当時、じつは筆者は、家を買おうと不動産を探していました。しかし、認知症の父の症状がかなり進行していたため、この特例のことを考慮し、購入は先送りする選択をしました。

 

この特例は、子供だけでなく親族(配偶者・六親等内の血族・三親等内の婚族)も対象になります。つまり、親の家を孫が相続する場合も、小規模宅地等の特例は使えるわけです。

 

◆相続税申告は必須になるので歴年贈与を優先

なお、この特例を使う場合は、相続税の納付期限(相続税の発生から10か月後)までは、親の家を保有しておく必要があります。

 

一つ覚えておいてほしいのは、この特例を使うには、相続税申告をしないといけないという点です。相続税申告は手間ひまがかかります。相続税がかかりそうであれば、まずは暦年贈与で、相続税対策をすることが大切だと思います。

 

 

永峰 英太郎

フリーライター

 

高橋 正典

価値住宅株式会社

代表取締役

 

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親の家を売る。──維持から売却まで、この1冊で大丈夫!

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永峰 英太郎(著)・高橋 正典(監修)

自由国民社

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