(※写真はイメージです/PIXTA)

住みたい街ランキングでもよく目にする人気の街となった「武蔵小杉」ですが、かつては京浜工業地帯の一角を担う「一大工場地域」でした。では、現在の「武蔵小杉」はいかにしてつくられたのか、東急株式会社常務執行役員の東浦亮典氏が解説します。※本連載は、東浦亮典氏の著書『東急百年 私鉄ビジネスモデルのゲームチェンジ』(ワニブックス)より一部を抜粋・再編集したものです。

“農耕型東急”の強みとは?

デベロッパーには「狩猟型」と「農耕型」があって、東急は典型的な「農耕型」です。東急は鉄道事業を抱えていることもあり、デベロッパーとして比較的中長期的な視点に立って物事を考えることができる数少ないプレイヤーですから、少なくとも東急沿線内においては、自分たちがやった仕事に対して、「短期的に稼いだから後は知らない」という無責任なスタンスは基本的には取れません。

 

近年、「エリアマネジメント」という言葉がまちづくりの業界で広く認知されています。一言でいえば、民間セクターの団体が「地域のクリーン&セーフ(清掃と治安維持)を遂行するとともに、地域価値を高めていく一連の活動」のことです。

 

それぞれの地域実情に合った形で、公共空間の使い方を自治体、地域住民に諮(はか)りながら、もっと多様な使い方ができるように「開いて」いく。これにより公共空間の管理コストが下がり、かつ公共空間で一定のルールの中で行った収益事業の一部を公共還元して、税金を投入しなくても公共空間の維持や質的向上が図れるという仕組みです。

 

武蔵小杉にはすでに「NPO法人小杉駅周辺エリアマネジメント」という団体が組成されており、タワーマンション住民や地域団体のキーパーソンなどを中心に活発に活動をしています。

 

とはいえ、新たに街の住人の数が増え続け、マンションエリアも拡大しています。課題はまだまだ山積ですが、官民の連携でもっと素晴らしい街になることを心から願っています。

 

 

東浦 亮典

東急株式会社

常務執行役員

 

※本連載は、東浦亮典氏の著書『東急百年 私鉄ビジネスモデルのゲームチェンジ』(ワニブックス)より一部を抜粋・再編集したものです。

東急百年 私鉄ビジネスモデルのゲームチェンジ

東急百年 私鉄ビジネスモデルのゲームチェンジ

東浦 亮典

ワニブックス

東急電鉄に所属していた2018年に、前作『私鉄3.0』で「電車に乗らなくても儲かる私鉄の未来」を提言した東浦亮典氏。あれから4年、電鉄業界はコロナというこれまでにないパンデミックに見舞われた。テレワークの普及で働き方が…

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