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せっかく手帳に予定を書いても達成できない…そんなときは
取り組むべき勉強内容を書いても後回しにしてしまって手つかずのまま時間が過ぎてしまったり、前もできなかったからこの勉強内容・この勉強時間はやめようと思ってしまったりしたことはありませんか?
これからお話する3つの手帳術は、そういった悩みを解決し、取り組むべき勉強内容を自分との約束という守らなければならないものにする方法になります。
その3つとは、「つい後回しにしちゃう予定は、細分化して『小さな約束』にすること」「過去の自分は過去の自分。『なりたい自分』と約束をすること」、そして「人と比べて焦らず、自分が積み上げるものを見失わないで、約束を果たすこと」になります。それぞれについて、ここから具体的な手帳術をご紹介していきます。
①つい後回しにしちゃう予定は、細分化して「小さな約束」に
手帳に予定や勉強内容、その他の取り組むべきことなどを書いても、つい後回しにしてしまい、期日ギリギリに慌てたり、予定や勉強内容そのものの存在を忘れてしまったりしたことはありませんか?
そんな悩みを解決するため、「こんな私じゃダメだ! ちゃんとしなきゃ!」と自分に言い聞かせるという人も多いと思います。それも大切なことですが、言い聞かせるだけでは数日後、やっぱり後回しにしてしまう自分に戻ってしまうこともあるのではないでしょうか。私自身、何度もその繰り返しをしてしまうことがあります。
そこで私はまず、「予定や勉強内容を小さな約束にして書き出す」ということを意識するようにしました。
例えば、期日が1週間後に迫る課題が少し重たいもので、早めに取りかからなければならないのに、どうしてもやる気が出なくて、後回しにしてしまっているとします。そのとき、手帳のTo Doリストに「課題」と一言書くのではなく、「課題のスケジュールを立てる」「課題の文献調査をする」「課題のレポートを書き始める」「課題のレポートを半分仕上げる」などと小さなTo Doにしていくのです。
このように、1つの予定や勉強内容を小さな約束に書き換えていくと、1つの約束がより達成しやすいものとなり、1日のなかで無理なく取り組めるようになります。この1つのTo Doを終わらせたら一歩進んだことになる、そう実感できると1つずつのTo Doに以前よりも前向きに取り組めるようになり、課題を後回しにすることが少なくなりました。
一見、1つの勉強内容やTo Doに思えるものでも、なかなか取り組めていないものがあったらぜひ、小さな約束に書き換えられないかな、と自分に問うてみてください。重い腰が上がらない勉強内容を小さな約束に変換することは、今日や明日の自分の「エネルギー」を自分自身で生み出せるようになることで、志望校合格への大切な一歩です。
②過去の自分は過去の自分。「なりたい自分」と約束をする
さて、後回しにしてしまうという悩みの次に解決しなければならないのが、「以前もできなかったからきっと今回もできないだろう」と過去の自分に影響されて、目標や取り組みがどんどん下がっていってしまうことです。
具体的にお話すると、受験勉強であれば、「先週、1日5時間勉強しようとして難しかったから、今週は4時間にしよう」と勉強時間を減らしてしまったり、「この問題集の1ページ目が難しかったから、この問題集を解くのはやめよう」とすぐに諦めてしまったりしたことはありませんか?
たしかに、現状に対してあまりにも高い目標を設定してしまうと、それを達成できず、気分も落ち込んでしまうこともあると思います。ですが、「以前できなかったから」という理由でどんどん勉強時間を減らしたり、勉強内容を変えていったりしてしまうことは、良い緊張感の創出につながりません。それだけでなく、自身の変化や成長も生み出せなくなってしまうのです。
そのため、「過去の自分は過去の自分」と少し割り切って考えてみて、「私はこうなりたい!」という「理想の自分」と約束を作り、それを手帳に書いていく、という選択が効果的なことがあります。
先ほどの例でお話すると、「先週、1日5時間の勉強は難しかったけれど、志望校の合格のために勉強時間はしっかり確保することが大切。だから、今週も1日5時間の勉強を目標にしよう。そのためにテレビを見る時間を毎日30分、携帯を見る時間を毎日30分減らそう」「この問題集の最初の方は難しかったけれど、とりあえず1周解いてみて、解ける問題を探して印をつけていこう」などが、「なりたい自分と約束する」ことの具体例になります。
ここでのポイントは、ただなりたい自分と約束するだけでは、先週と結果が同じになってしまうので、「なぜ」という理由を分析するということです。
例えば、「なぜ、先週は1日5時間の勉強ができなかったのか」と考え、先週の自分を少し思い出してみて、「テレビを見過ぎてしまったなぁ」「携帯を触りすぎてしまったなぁ」などと、約束が果たせなかった理由を考えてみましょう。
そのうえで、「今週叶えたい勉強時間」に加え、「その勉強時間を達成するために気をつけること」という2つの約束を手帳に書き留めてみてください。この2つの約束を書くことによって、過去の自分にとらわれて目標をどんどん下げてしまうことが防げるようになり、現在を頑張れることへつながります。
このように、克服したいと感じる過去の出来事があったら、「叶えたい目標」と「以前達成できなかった理由」を書き留めてみると、現在の自分があと一踏ん張りできるようになるはずです。「本当はこうなりたい自分」と約束をして、その約束を日々少しずつ達成していくことが、夢への「過程」に自身の成長や大きな意味をもたらしてくれます。
③人と比べて焦らない。自分が積み上げるものを見失わないで、約束を果たす
勉強を後回しにしないために小さな約束に書き換える、そして、なりたい自分と約束するという手帳術に加えて、最後に1つ、お伝えしたいSTEPがあります。それは、「人と比べて焦らず、自分が積み上げるものを見失わないで、約束を果たす」ということです。
みなさんは、周りの受験生が使用している教材が自分のものと違って焦ったり、クラスの他の子が勉強しているのを見て、「自分は全然勉強していない…」と落ち込んだりしたことはありませんか?
私は受験生の頃、この悩みをずっと抱えていました。周りの受験生と自分を比較しては不安や焦りが大きくなり、自分の取り組むべき勉強内容や勉強スタイルを見失ってしまったのです。
「あの子が解いている参考書、私は解いていない…もしあの参考書から出題されたらどうしよう」「私は全然勉強を頑張れていない…どうしよう」などと焦りや不安、悲しみや怖さ…そんな暗い色をした雲たちがどんどん私の心に立ちこめていき、日に日に希望や前向きさといった光の入る隙間がなくなっていきました。
たしかに、合格体験記や模試の成績などを見て、「合格するためには必要なのに、今の自分には足りていないもの」を自覚し、改善していくことはとても大切です。
ですが、先ほどの私の例のような焦りや不安から、今取り組んでいるものを投げ出して、むやみに新しい問題集に手を出してしまったり、自分自身がしてきた勉強法を突如大幅に変えてしまったりすることはとても危険だと考えています。
受験から少し時間が経った今なら、この危険性を受け止めることができますが、私自身、受験真っただ中の頃は、周りと違うことがとても不安で仕方ありませんでした。この本を読んでいる人の多くも、同じ悩みをきっと持っているはずです。
しかし、隣に座っている受験生にとってベストな勉強法や参考書が、自分にとってもベストだとは限りません。今までの人生で形成された考え方や性格と受験は、一見あまり関係のないもののように見えても、実は深くつながっています。
そして、そんな自分の考え方や性格は「手帳」に現れていきます。だからこそ、自分が書いている手帳の内容を信じて、1つひとつの「約束」に取り組んでみてほしいのです。自分にとってぴったりな勉強法や参考書は、自分にしかわからず、それは隣の子と同じではありません。
ところで、これは受験特有のものではないと考えています。大学の勉強や仕事、習い事も同様で、同じ目標を持っていても、隣の子と自分では、取り組むべきタスクの種類や内容が異なっているのではないでしょうか。
誰かと自分を比べて焦ってしまい、自分が積み上げるべきと考えていたものではないことをしてしまったなら、その目標の結果によっては、後悔や辛い気持ちが残ってしまうかもしれません。頑張ってきた今までの軌跡を、思い出したら辛いものにしてしまうのは、とても苦しいはずです。
そのため、手帳を通して今までの自分・今の自分の考え、気持ちを信じて、自分が積み上げるべきだと感じたものを見失わず、目の前の約束へ着実に取り組み続けていくことは、前を向いて走り続けるために大切なのではないかと感じています。
松島 かれん
2001年生まれ。東京大学農学部4年(2023年時点)。
高校1年生の頃、自信のなさやいろいろなことに悩み続け、「一歩が踏み出せない自分を変えたい!」と思い、東大受験を決意。しかし、数学では一桁の点数を記録したり、受験勉強とは何をどのように勉強したらよいのかわからず、多くの悩みに直面する。そんなときに出会ったのが手帳であった。自分は勉強が苦手なだけでなく、自分に合った勉強法も見つけられていないのだと気づく。
手帳を書き始めると、自身の性格や考え方を踏まえて勉強と向き合えるようになり、自分の行動も気持ちも大きく変化していくことを手に取るように感じた。その後、3年間10~14時間受験勉強に励み、高校から学年1人東大に現役合格。
大学入学後は、自身と同じような悩みを抱える中高生の背中にそっと寄り添い、少しでも笑顔を届けられたらという気持ちから、リアルドラゴン桜プロジェクト講師をはじめとし、全国各地で講演会を行うほか、書籍や連載、記事の執筆に励んでいる。