元偏差値39・東大現役合格者が教える〈手帳術〉…手帳は「きれいに書く必要はない」という地味に大切な“ルール”

元偏差値39・東大現役合格者が教える〈手帳術〉…手帳は「きれいに書く必要はない」という地味に大切な“ルール”
(※写真はイメージです。/PIXTA)

偏差値39・模試E判定続きの状態から東大へ。松島かれん氏が東大現役合格を果たせたのは、「手帳」を通して自己管理・自己分析・自己肯定ができるようになったからだといいます。学生やビジネスパーソンにとって身近なアイテムである「手帳」を使いこなすには、どうすればよいのか。松島氏の著書『無理せず自然に成績が上がる勉強のトリセツ 東大生の合格手帳術』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、長期間手帳を書き続けるためのルールを紹介します。

<前回の記事>偏差値39・限界受験生「どうして私は勉強しないでダラダラ過ごしてしまったんだろう」⇒〈手帳〉を書き始めたら…すごいことに【東大現役合格者の手帳術】

「買ったはいいが、続かない」という“手帳あるある”

手帳を買ったものの1ヵ月ほどしか続かなかったり、ときには1週間しか使わなかったといった経験はありませんか? 手帳という存在を考えるにあたり、「続かない」という悩みは不可分なのではないかなと思うほど、よく耳にする悩みです。

 

この悩みを解決する第一歩としては、「手帳を開く時間を決める」など「自己管理」が鍵を握っています。そしてここでは、「自己管理」を日々意識してみたものの、「中・長期的には書き続けられなかった」場合の対処法について述べようと思います。

 

■「手帳を書くハードルを下げること」と「小さな達成感を積み上げること」が大切

突然ですが、受験や勉強に打ち込もうとしたり、学校や部活で日々を過ごしたりするなかで、自分でも気づかぬうちに様々な「モヤモヤ」が心に溜まっていると感じたことはありませんか?

 

「今日も眠くて勉強ができなかったな」「今日友達と少しうまくいかなかったな」…など、日々の小さな心のモヤモヤがいつしか溜まって、それがどんどん大きくなっていく。

 

それと同じように、「手帳を始めたのに今日書けなかったな」「手帳に書いたこと何もできなかったな」…といったモヤモヤが溜まってしまうと、手帳自体がモヤモヤという気持ちと結びついてしまい、どんどん書かない日が増えていってしまう負のスパイラルに陥りかねません。

 

そのような負のスパイラルに陥らず、長期間手帳を書き続けるためには何が大切なのでしょうか。私は、「手帳を書くハードルを下げること」と「今日も頑張った! という小さな達成感を積み上げること」の2つが大切だと考えています。

 

無意識に縛られ、手帳を書き続けるハードルを上げてしまっている存在を見つけ取り除く。そのうえで、書き続けられるようになり、手帳から達成感といった前向きな気持ちをも生み出せたなら、いつしかいろいろなモヤモヤで見えなくなってしまっていた「本当の自分」が見えてくると考えています。

 

モヤモヤとは、1日にしてすべて取り除けるものではありませんが、私自身、先述の2つを地道にコツコツ日々繰り返していくと、いつしかモヤモヤたちは1つひとつ消えていき、自分らしさが見えてくると感じました。無理をしすぎず、できることを少しずつ増やしながら手帳を書き続けていきましょう。

 

結果のわからない目標に向かうなかで不安が立ち込めたときには1日1日積み重ねてきた「過程」を教えてくれ、頑張っていなかったのではないかと過程に焦りが湧き出たときには日々取り組み、達成してきた「結果」を教えてくれる。過程という形でも、結果という形でも、自分を鼓舞してくれる存在に手帳がなるよう、ここからお話する手帳術を思い出しながら手帳を書き続けてみてください。

手帳を書くハードルを下げるには?キーワードは2つの「ない」

ここからは1つ目の「手帳を書くハードルを下げる」ための具体的な対処法についてお話します。手帳を始めて無意識に縛られてしまいやすい2つの事柄についてご紹介します。

 

【ルール1】きれいに書く必要はない

1つ目に、「きれいに書く必要はない」というルールについてお話します。新しい手帳を買って、「さあ手帳を書き始めよう!」とすると、「きれいな文字で書こう」「色ペンを使いながら書いてみたい」などと無意識に自分へルールを課してしまうことはないでしょうか。

 

私はかつて、よくこの課題に直面していました。きれいに書く必要はないという言葉だけ見ると、当たり前のことのように聞こえるのですが、新しい手帳を買って書き始めると無意識に「きれいに書こう!」という気合いが入りすぎてしまい、きれいに書けない日が続くと、そもそも手帳を書こうという気持ちが離れていってしまう自分がいたのです。

 

もちろん、新年や新年度を新しい気持ちで始め、新しい手帳をきれいに書き始めることはとても素敵だと思います。私がお伝えしたいのは、「きれいに書いてはいけない」ということでは決してなく、たとえきれいに書けない日があっても、そこで手帳を手離さないでほしいということです。

 

書き始めて間もなくはきれいに書き続けられても、それから数週間経つと、どうしても忙しさや疲れなどが重なり、きれいに書けない日も出てくるはずです。そんなとき、1日だけでもきれいさを諦め、短時間でざっと書く日を作ってみると、自然と上がってしまっていた手帳を書くことへのハードルが下がり、翌日以降も手帳を書きやすくなります。

 

何よりも大切なのは、自分らしさを知るために手帳を書き続けることです。もし忙しさや疲れが少し落ち着いて、「もう一度きれいに書けそう!」という日が出てきたのなら再度きれいに書き始めればいいのです。きれいさの追求を柔軟に行えることが手帳継続への近道です。

 

【ルール2】毎日必ず書く必要はない

2つ目のルールは、「毎日必ず書く必要はない」というものです。もちろん、毎日書き続ける意識はとても大切で、実際に毎日書き続けられたらベストです。

 

ですが、「朝、遅刻ギリギリの時間に起きてしまって手帳を書く時間が取れなかった」という日や「1日バタバタして気づいたら夜になっていて、けれど、もう眠くて今から手帳を書く気持ちにはなれない」という日、「特に理由はないけれど、疲れや眠さからか手帳を書く気持ちになれない」という日もきっとあるはずです。1年間365日過ごしていたら、そういう日も必ずあると思います(私には年に何日もそういう日があります)。

 

本連載では、手帳を習慣にすることや書き続けることの大切さをお話していますが、私は手帳を書けない日があってもいいと考えています。たとえ1日書けない日があっても、その日にエネルギーを貯めて、また翌日から書き始めること、つまり年間など長期的な視点で書き続けることも大切だと感じています。

 

そのため、「毎日絶対に書かなければいけない」というルールを無意識に自分へ課してしまうことで、「1日書けなかったからもうだめだ。もう手帳を使うのはやめよう」となることは何としても避ける必要があると思うのです。

 

ただ、ここで1つ注意しなければならないことがあります。それは、1日書かない日ができてしまうと、それがずるずると続いてしまい、書くきっかけを見失ってしまう可能性があるということです。

 

長年手帳を書き続けていて、それがすでに習慣になっている人であれば、数日手帳を書かない日があっても、またすぐ手帳を書き始めようという気持ちになるはずです。というのも、一度習慣になると、「手帳を書けない」という状況が落ち着かないからです。

 

ですが、新しく手帳を書き始めた人にとっては、書かない日が一度できると、そのままずっと手帳を書かなくなってしまうリスクが大いにあるわけです。

 

そのため、「1日手帳を書かない日があったら、翌日は一言でも手帳を書く」「手帳を書かない日があっても、その日の予定確認などで、必ず一度は手帳を開く」といったルールを事前に作り、手帳の表紙裏などに書き込んでおくのがおすすめです。数ヵ月手帳の習慣が続いたら、きっとそれ以降は、手帳を休む日があったとしても無理なく続けられるはずです。

 

以上2つのルールを心に留めるだけで、以前よりも無理なく手帳を書き続けられるようになります。書き続ける気力が湧かないときは、書き続けることが、このあとお話する「自分らしさ」への気づきや「自分を信じられるようになる」ことへつながっている、ということも思い出してもらえたらと思います。

ベッドのなかで「今日も頑張った!」と言える日に

手帳を書き続ける秘訣の2つ目として、「今日も頑張った! という小さな達成感を積み上げる」というお話をします。

 

手帳に書き込まれた勉強内容がたくさん終わっていたり、苦手な範囲の勉強にしっかり取り組めたりと、「今日も1日頑張った!」という達成感を得られると、「明日も手帳を使って頑張ろう!」と、手帳の継続につながりやすくなります。

 

突然ですが、ベッドに入ったら、1日の後悔が押し寄せてきたことはありませんか? 「あれ、今日1日何をしていたんだっけ…。何にもしてない…」と気づいてため息がこぼれ、そんなため息が1日に何回もあると、「もう今日は頑張らなくていいか…」という気持ちになってきますよね。そして、その翌日も「まぁ今日も頑張らなくていいか…」とどんどん頑張れなくなる、そんな経験が私には今まで何度もありました。

 

後悔を抱いた状態のまま1日を終え、明日がやって来たら、先述のように日が経つほど後悔や焦りが増していき、モヤモヤは増えていくばかりで、どんどん「本当の自分」が見えなくなっていってしまいます。

 

そのため、手帳術を活用しながら手帳で「良い緊張感」を生み出し、取り組むべきことをしっかり書いて1つずつ終わらせていったり、自分の目標や気持ちと向き合ったりしていくことは、手帳の継続のためにも欠かせないのです。

 

その日々の積み重ねにより、「今日も1日頑張った!」とベッドで言えるようになったら、モヤモヤのまま1日を終えることが少なくなるはずです。「〇〇した自分、頑張った!」と少しずつ自分を受容できるようになると、自分が本当にしたいことや自分が好きなことが自然と見えてくることが多くあります。

 

たとえすべての勉強内容が終わっていなかったとしても、あるいは予定のすべてを全力でこなせなかったとしても、1つずつの勉強と向き合って「今日も今日なりに頑張った」と思える1日が過ごせたら、気持ちがスッキリして落ち着き、「明日以降もきっと1つずつ終わらせられる」と信じられるようになるはずです。そしてその状態こそ、モヤモヤに覆われて本当の自分と乖離してしまった自分にバイバイでき、自分らしさが大切にされている状態だと思うのです。

 

手帳を開くと、今日という1日で、何か1つでも「これを頑張ったから大丈夫」と自分を受け止めてあげられることが書いてあれば、きっと前を向いて明日を迎えられます。「また明日」と1日の終わりにベッドのなかで自分に笑顔で話しかけられるようにする。

 

このように、手帳を活用しながら小さな達成感を1日ずつ積み上げていくことで、手帳とプラスの感情を結びつけ、無理なく手帳を継続させていきましょう。

 

 

松島 かれん

 

2001年生まれ。東京大学農学部4年(2023年時点)。

高校1年生の頃、自信のなさやいろいろなことに悩み続け、「一歩が踏み出せない自分を変えたい!」と思い、東大受験を決意。しかし、数学では一桁の点数を記録したり、受験勉強とは何をどのように勉強したらよいのかわからず、多くの悩みに直面する。そんなときに出会ったのが手帳であった。自分は勉強が苦手なだけでなく、自分に合った勉強法も見つけられていないのだと気づく。

手帳を書き始めると、自身の性格や考え方を踏まえて勉強と向き合えるようになり、自分の行動も気持ちも大きく変化していくことを手に取るように感じた。その後、3年間10~14時間受験勉強に励み、高校から学年1人東大に現役合格。

大学入学後は、自身と同じような悩みを抱える中高生の背中にそっと寄り添い、少しでも笑顔を届けられたらという気持ちから、リアルドラゴン桜プロジェクト講師をはじめとし、全国各地で講演会を行うほか、書籍や連載、記事の執筆に励んでいる。

※本連載は、松島かれん氏の著書『無理せず自然に成績が上がる勉強のトリセツ 東大生の合格手帳術』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋・再編集したものです。

無理せず自然に成績が上がる勉強のトリセツ 東大生の合格手帳術

無理せず自然に成績が上がる勉強のトリセツ 東大生の合格手帳術

松島 かれん

日本能率協会マネジメントセンター

【偏差値39から東大現役合格を実現!】 高校1年生の頃、自信のなさやいろいろなことに悩み続け、「一歩が踏み出せない自分を変えたい!」と東大受験を決意した松島かれん氏。しかし、数学では一桁の点数を記録したり、受験…

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