(※写真はイメージです/PIXTA)

相続や贈与で財産を家族に渡すとき、財産を受け取った人が相続税や贈与税を支払うことになれば、その分だけ渡せる財産が実質的に減ってしまいます。──本連載は、司法書士法人みどり法務事務所が運営するコラム『スマそう−相続登記−』から一部編集してお届け。本稿では、税理士法人ブライト相続の天満亮税理士が監修した記事より、相続税と贈与税の基本的な仕組みについて解説し、税率や計算方法など2つの税金の違いを紹介します。

相続税がかからず相続税対策が不要なケースも多い

相続が起きたときに相続税が課税された割合は、国税庁の発表によると令和2年は8.8%でした。遺産を相続する場合でも、遺産額が非課税枠の範囲内で相続税がかからないケースが多く、相続税がかかるケースは全体で1割以下しかありません。

 

財産額を確認して、将来の相続財産が「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で求めた金額以下であれば、そもそも相続税はかからないので相続税対策は不要です。

 

相続税と贈与税の違い

相続税と贈与税の違いとして、特に押さえておきたいポイントは「税率」「基礎控除額」「特例制度」の3点です。以下に、それぞれどのような違いがあるのか説明します。

 

1税率の違い

相続税と贈与税の税率は、財産額に応じて10%から55%まで8段階に分かれています。

 

[図表1]相続税の税率

 

 

[図表2]贈与税の税率

 

 

贈与税の税率には、一般税率・特例税率の2種類あります。18歳以上の人が直系尊属(父母や祖父母など)から財産を贈与された場合に適用されるのが特例税率、それ以外の贈与で適用されるのが一般税率です。

 

相続税で最高税率55%が適用されるのは、法定相続分に応ずる取得金額が6億円を超える場合ですが、贈与税では基礎控除後の課税価格が3,000万円や4,500万円を超えると最高税率55%が適用されます。財産額が同じでも、税率は贈与税のほうが高くなる傾向にあります。

 

2基礎控除額の違い

相続税や贈与税の計算では、財産額から基礎控除額を引いた上で税率を適用します。つまり財産額が基礎控除額以下であれば、税金はかかりません。前述のとおり、基礎控除額は相続税では「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で求めた金額、贈与税では年110万円です。

 

贈与税の基礎控除額110万円は、贈与を「する人」ではなく贈与を「受ける人」ごとに計算します。

 

例えば、親が3人の子に財産を贈与するなら、それぞれ年110万円の贈与まで税金がかからないので最大330万円の贈与まで非課税です。

 

一方で、相続税は法定相続人の数が多いほど基礎控除額が大きくなります。法定相続人が1人なら3,600万円まで、2人なら4,200万円まで、3人なら4,800万円まで非課税です。

次ページ【計算例】相続税と贈与税の税額を比較

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