(※写真はイメージです/PIXTA)

給与が上がらず、銀行にお金を預けておいても増えないなか、お金を守り、増やしていく必要があります。有効な方法の一つが、所得控除等の税制優遇の制度を利用することです。FPの頼藤太希氏と高山一恵氏が、著書『1日1分読むだけで身につくお金大全100 改訂版』から、所得控除の制度のなかでも重要なものの一つ「医療費控除」について解説します。

医療費控除で税金は安くなる?

医療費控除は、医療費が原則年間10万円を超えた場合に、確定申告をすることで税金が戻ってくる制度です([図表1]参照)。

 

[図表1]医療費控除の計算式

 

医療費控除の対象になる医療費は、医療機関で支払った自己負担分の医療費はもちろん、薬局で支払った薬代、病院に行くときの電車やバスなどの交通費、さらには治療目的で購入した市販の風邪薬・胃腸薬・湿布薬なども対象になります。

 

医療費控除の対象は幅広いのですが、中には該当しない出費もあります。

 

医療費控除で控除できる金額は[図表2]のとおり。補てん金額とは、たとえば医療保険や健康保険などから支給されたお金です。医療費からその補てん金額を引いた金額が原則10万円を超えた場合、医療費控除が受けられるというわけです。

 

[図表2]医療費控除できる? できない?

 

医療費控除は「生計を一にしている親族」の医療費も合算して申告できます。医療費の領収書やレシートは5年間保存する必要があります。

 

また、医療費控除で戻ってくる金額は、年収によっても変わります。家族の中で一番所得が多い人が申告するのがお得です。

 

■チェック!

医療費-補てん金額=10万円を超えた場合、医療費控除が受けられます。

 

医療費控除は確定申告でしか手続きできないので注意! レシートや領収書は捨てずに保存しましょう。

セルフメディケーション税制とは?

医療費控除には「セルフメディケーション税制」という特例があります。

 

これは、市販の医薬品を購入した場合に控除が受けられる制度です([図表3]参照)。

 

[図表3]セルフメディケーション税制の計算式

 

セルフメディケーション税制の対象になる医薬品は、多くの場合、外箱などにマークが入っています。また、購入したレシートにもセルフメディケーション税制の対象医薬品であることを示すマークが記されています。

 

セルフメディケーション税制は、この対象の医薬品の購入金額が年間1万2,000円を超えた場合に確定申告をすると、税金が戻ってくる制度です。なお、レシートや領収書及び対象の健診を受けた証明書は提出は不要ですが、自宅で5年間保存が必要になります。

 

[図表4]セルフメディケーション税制を受けるための要件

 

セルフメディケーション税制で控除できる金額は最大8万8,000円まで。医療費が10万円未満でも活用できるのがメリットです。

 

ただし、セルフメディケーション税制は医療費控除と併用できません。どちらか得になるほうを選びましょう。

 

■チェック!

セルフメディケーション税制とは市販の医薬品を購入した場合に控除が受けられる制度です。セルフメディケーション税制の対象の医薬品にはマークがあるので必ずチェックしましょう。

 

 

頼藤 太希

株式会社Money&You

代表取締役

 

高山 一恵

株式会社Money&You

取締役

 

1日1分読むだけで身につくお金大全100 改訂版

1日1分読むだけで身につくお金大全100 改訂版

頼藤 太希・高山 一恵

自由国民社

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