(※画像はイメージです/PIXTA)

中小企業の社長にとって、自分の給与をいくらに設定するかは大きな問題です。給与の額を大きくすれば会社の経費(損金)になり法人税を減らせますが、個人の所得税と社会保険料が増えます。そこで、有効とされる方法の一つが、「ボーナス」を利用して社会保険料を抑える方法です。本記事では、その方法と、注意すべき点について、シミュレーションも交えて解説します。

◆ケース2|役員賞与スキームを用いる場合

【ケース2|役員賞与スキームを用いる場合】

・東京都・45歳

・協会けんぽ加入

・月給30万円、役員賞与840万円(合計1,200万円)

 

ケース2は、月給30万円(年間合計360万円)、役員賞与840万円を支給する場合です。社会保険料総額は以下のようになります(2022年6月時点)。

 

【ケース2での社会保険料総額】

・月給にかかる健康保険料:35,460円×12ヵ月=425,520円

・月給にかかる厚生年金保険料:54,900×12ヵ月=658,800円

・役員賞与にかかる健康保険料:682,686円

・役員賞与にかかる厚生年金保険料:274,500円

総額2,041,506円

 

このように、役員賞与スキームを用いたケース2は、用いなかったケース1と比べ、社会保険料が年間804,006円低くなります。

役員賞与スキームの活用を検討する場合の注意点

ただし、役員賞与スキームを検討する場合は、注意しておかなければならないことが2つあります。

 

【役員賞与スキームの活用を検討する場合の注意点】

1. 退職金支給時に所得税の負担が大きくなるおそれがある

2. 家計のやりくりに困る可能性がある

 

◆注意点1. 退職金支給時に所得税の負担が大きくなるおそれがある

まず、退職金支給時に、個人の側で所得税経費にできる額が抑えられてしまうおそれがあることです。

 

どういうことかというと、退職金には、月々の給与の額(報酬月額)を基準として、経費にできる額の上限(損金算入限度額)が決まっているからです。

 

「功績倍率法」によれば、損金算入限度額の計算式は以下の通りです。

 

【功績倍率法による計算式】

報酬月額×在任年数×功績倍率

 

したがって、月々の給与の額を少なくすると、退職金の損金算入限度額が小さくならざるをえず、それを超えた部分の額は損金算入が認められないことになります。

 

このことを考慮すると、特に、勇退の時期が近い場合はおすすめできません。

 

◆注意点2|家計のやりくりに困る可能性がある

第二に、毎月の給与の額をあまりに低く抑えすぎると、月々の家計のやりくりが厳しくなる可能性があります。

 

毎月の家計の収支についてシミュレーションしたうえで、無理のない範囲で行う必要があります。

 

このように、「事前確定届出給与」の利用しての「役員賞与スキーム」を活用すると、社会保険料の節約につながることがあります。しかし、検討するならば、後々、勇退する際の退職金の額についての所得税の負担が大きくなる可能性があること、家計のやりくりが困難になる可能性があること等に注意する必要があります。

 

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