老後のための資産形成は50歳からでも全然遅くない
「五十の手習い」ならぬ、「50歳からの資産運用」と聞くと、多くの人は「もう遅い」と思うかもしれませんが、絶対にそんなことはありません。
老後のための資産形成は50歳からスタートしても十分に間に合います。
なぜなら、「人生100年時代」だからです。
厚生労働省発表の数字によると、2022年の日本人の平均寿命は、男性が81.47歳、女性が87.57歳です。医療の発展によって、これらの数字はさらに上昇していくでしょう。
振り返ってみると、1990年の平均寿命は、男性が75.92歳、女性が81.90歳でした。32年間で、男性は5.55歳、女性は5.67歳も平均寿命が延びたのです。
かつては70歳くらいまで生きることを前提にして資産形成をすればよかったのですが、これからは最低でも90歳、できれば100歳を前提にして資産形成をしていく必要があります。
もうひとつ、注目しておきたい数字があります。それは「健康寿命」です。
健康寿命とは、「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことです。厚生労働省の発表によると、2019年の健康寿命は、男性が72.68歳、女性が75.38歳です。
本当の意味で、貯蓄を取り崩して生活しなければならないのは、この健康寿命以降と考えていいでしょう。
つまり、50歳の時点でほとんど資産がない人でも、70歳くらいまでは、働くことによって得られる給料の一部を資産形成に回すことができます。それによって、かなりの資産を築くことができるのです。
一定の金額を積み立てても、それを預貯金にしていては、大した資産は築けません。なぜなら金利が低すぎるからです。
2023年3月時点で、大手銀行が扱っている定期預金の利率は、預入金額の多寡、預入期間の長短に関係なく、年0.002%でしかありません。
この超低金利では、たとえば1,000万円の元本を半年複利で20年間運用したとしても、得られる利息はたったの4,000円です。
したがって、50歳から70歳までの20年間である程度の資産を築こうとしたら、本格的な運用に取り組んでいく必要があります。
ちょっとシミュレーションをしてみましょう。
50歳から70歳までの20年間、一定の金額を「積立投資」に回すことによって、どのくらいの金融資産を築くことができるのでしょうか。
たとえば毎月5万円を20年間積み立てた場合、元本は1,200万円です。仮に50歳時点の金融資産額がゼロだとしたら、これでも心強い金額といえますが、もし年平均5%の利回りで運用できたとしたら、総額は2,055万1,683円になります。
皆さんもどこかで耳にしたことがあると思いますが、「老後2,000万円問題」を十分にクリアできます。
もし年平均利回りが6%だとしたら、総額は2,310万2,045円。年平均7%で運用できれば2,604万6,333円です。