定年を迎え、住宅ローンの返済がきつくなったら…
筆者はこれまで、定年退職後に残ってしまった住宅ローンの返済についての相談を受けてきました。
おかれている状況はさまざまなので、そのお客様とご家族様にとって最善の策を導き出します。
これまで多くのお客様が選んだ対処法のひとつとして挙げられるのは、子供に家とローンを引き継ぐ方法「親子リレー返済」です。
また、子供に引き継がないのであれば「リバースモーゲージ」という方法もあります。
親子リレー返済という選択肢
まず「親子リレー返済」です。
たとえば、同居する子供がすでに就職しており、今後も同居の予定であれば、自宅と併せてローンの返済も引き継ぐというものです。この場合、住宅ローンを親の単独債務から親子の連帯債務にするかたちにして借り換えをおこないます。
名義については、実際に誰が返済をおこなうかにもよりますが、親子で協力して返済をするのであれば、返済負担割合に応じて親の単独名義から共有名義に変更する方法もあります。
このとき、ローンを引き継ぐ子供に兄弟がいる場合は注意が必要です。
なぜなら、いずれ相続が発生したときに、親の資産であった自宅はローンを引き継いだ子供のものとなり、ほかに財産がなければ兄弟は相続財産を受け取れずトラブルになる可能性があるからです。
相続の場面では仲のよかった兄弟がもめることはよくあります。事前によく話し合っておく必要があります。
また、親子リレー返済にすると、後継人である子供は新たな住宅ローンを組めなくなる可能性がある点にも注意してください。
住宅ローンを子供に引き継ぐ際には、事前に親と子の双方の一生涯のライフプランとマネープランを確認しておくこと、税金や相続のことも考え、家族全員で納得しておく必要があります。
リバースモーゲージという選択肢
このほか、老後に残ってしまった住宅ローンの対処法として、リバースモーゲージへの借り換えがあります。リバースモーゲージとは、自宅を担保に生活資金などを借りることができる高齢者向けのローンです。
自宅の担保評価額の5~6割程度まで融資を受けることができ、住み続けながら利息の支払いだけをしていきます。
最終的には死亡した際に、自宅の売却資金で元金を一括返済する仕組みです。
金融機関によっては住宅ローンの完済資金に充当することも可能ですが、住宅ローンと違って、生存中は元金の返済はしなくていいため、返済額を大幅に減らすことができます。