「世帯年収1,000万円・共働き夫婦」がマイホームをローン購入…わずか5年で「低金利への借り換え」ができなくなるワケ【CFPが警告】

「世帯年収1,000万円・共働き夫婦」がマイホームをローン購入…わずか5年で「低金利への借り換え」ができなくなるワケ【CFPが警告】
(※写真はイメージです/PIXTA)

大手銀行の住宅ローンの固定金利が10年ぶりに上昇し、住宅購入やローン返済に不安を抱いている人が増えています。住宅ローン相談実績25年・5,500件超の実務家FPとして活躍する平井美穂氏が、著書『金利上昇でもあわてない 住宅ローンの超常識』(河出書房新社)から、住宅ローンの正しい知識をわかりやすく解説します。今回は「借り換え」をする際に注意すべき「年収」と「借入限度額」の関係を取り上げます。

年収が下がったら住宅ローンの「借り換え」ができないことも

マイホームを取得して何年か経つと、年収がダウンすることもあります。時短勤務や転職、中途退職したことが原因で年収が下がった方もいれば、管理職に昇進して残業代がつかなくなり年収がダウンした方もいました。

 

住宅ローンの審査では、借入額に対して必要な年収を満たしているかどうか審査されます。一般的には、審査申込時の前年の年収で審査するため、住宅購入時よりも前年の年収が下がったという方は注意が必要です。

 

とくに大幅に収入がダウンするケースは要注意です。そのひとつの例として、共働きの夫婦が片働きになるケースが挙げられます。

 

たとえば年収600万円の夫と年収400万円の妻が収入を合算すると世帯年収1,000万円になりますが、妻が退職し、夫が単独で借り換える場合は年収600万円です。

 

1,000万円と600万円では当然借入可能額が大きく異なります。

 

また、購入当初よりも年齢を重ねたことで、ローンを組める年数が短くなっている点も注意が必要です。ローンを組める年数が短くなればなるほど借入可能額も少なくなります。

 

むろん、借り換えの場合は、年齢を重ねた分だけ返済をしてきているわけですが、ローン残高の減るスピードよりも借入可能額が減るスピードのほうが速いと、希望する借入額に届かない可能性があります。

 

金融機関は、借入可能額を算出する際には、融資する金利ではなく、審査金利といって高めの金利で計算をしています。審査金利で計算した年間返済額が既定の返済負担率(年間返済額÷年収)に収まっていることが重要なポイントです。

 

金融機関によって異なりますが、審査金利は4%前後、返済負担率の上限は35~40%で審査する金融機関が多くなっています。

 

実際には金融機関の審査を受けてみないと確かなことはわからないのですが、参考までに年収と返済期間ごとに借入可能額のめやすをまとめたのが[図表1]です。審査金利4%、返済負担率(年間返済額÷年収)37%で算出しています。

 

[図表1]で「前年年収1,000万円」の「これから借りる人(返済期間35年)」のところを見てください。

 

※審査金利4%・返済負担率37%として算出
[図表1]年収・返済期間別借入可能額の目安 ※審査金利4%・返済負担率37%として算出

 

借入可能額の目安は6,960万円となっています。世帯年収1,000万円の共働き夫婦は、住宅購入時には目安として6,960万円の借入が可能ということです。

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金利上昇でもあわてない 住宅ローンの超常識

金利上昇でもあわてない 住宅ローンの超常識

平井 美穂

河出書房新社

大手銀行の住宅ローンの固定金利が10年ぶりに上昇局面。すでに返済中の人、これからローンを組んで住宅を購入する人の不安や疑問に答え、正しい知識と賢い乗り切り方を授ける書!

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