いつも落ち着きがなかったり、突然走り出してヒヤヒヤしたり。そんなお子さんの行動に悩まされている親御さんも多いのではないでしょうか。子どもの10人に1人は発達障害といわれていますが、そのひとつADHD(注意欠陥・多動性障害)は、その特性や接し方のコツ、専門機関に相談するメリットなどを公認心理師のしょう先生にお伺いしました。
10人に1人が発達障害…公認心理師に聞く「ADHD」の困りごとや接し方のコツ ※画像はイメージです/PIXTA

ADHD(注意欠陥・多動性障害)の子どもとの接し方のコツ

①事前に環境を整えてあげる

まずはお子さんの困り行動につながる要因を見つけて、取り除いてあげることをおすすめします。

 

たとえば「不注意タイプ」のお子さんの場合、雑然と物が置いてあったり、周囲から色んな音が聞こえてくる環境では勉強や宿題に集中できません。ここで宿題ができないことを叱っても改善は難しいので、視覚的にも聴覚的にも刺激のない環境を用意してあげるといいでしょう。

 

学習時に「じっとしていること」が難しくなかなか課題に取り組めない子であれば、宿題の前に思い切り体を動かしたり、椅子をバランスボールに変えて動きの刺激を入れてあげることでうまくいったご家庭もありました。その子の特性に合わせて環境の方を整えてあげるのは大事なポイントです。

 

②できたことに目を向けて褒めてあげる

お子さんができなかったり失敗したことを叱るのではなく、その途中段階でも「できた」ことを褒めてあげてください。例えば「宿題を終わらせる」ことがゴールだったとしても、その途中には小さなハードルがあります。観ていたテレビを止められたとか、机に向かうことができたとか、そういった小さな「できた」を褒めて、最終的なゴールへのモチベーションにつなげていってあげられるといいですね。

 

「子どもがADHD(注意欠陥・多動性障害)かも?」と思ったときの相談先

お子さんの困りごとに気付いたり、園や学校の先生から指摘を受けたら、一度以下のような専門機関へご相談してみてください。

 

・発達障害支援センター

・児童発達支援センター

・精神保健福祉センター

・子育て支援センター

・保健所・保健センター

・児童相談所

 

などがあります。

 

上記の専門機関だとちょっとハードルが高いなという方は、まずは「かかりつけの小児科」にご相談してみることもおすすめです。それぞれ、お住まいの都道府県や市区町村と併せて検索してみてください。

 

専門機関につながることのメリット

専門機関につながることは、お子さんだけではなく親御さんにもメリットがあります。

 

メリット①必要性に応じて、通所受給者証を受けられる

必要性が認められた児童については、通所受給者証を申請することができます。

 

通所受給者証を取得することで、児童発達支援や放課後等デイサービスといった児童福祉法に基づいて運営されている障害児通所支援事業者等のサービスを利用することができるようになります。

 

ただし、申請に必要なものは自治体によって異なる場合があるので、お住まいの市区町村にご確認ください。

 

メリット②子どもとの関わり方を学ぶことができる

専門機関での相談を通して、お子さんの特性の理解や関わり方などを専門家から学ぶことができます。また最近では、さまざまな専門機関で「ペアレントトレーニング」が実施されています。ペアレントトレーニングとは、親御さんがお子さんとのより良いかかわり方を学びながら、日常の子育ての困りごとを解消したり、お子さんの発達促進や行動改善を目的とした保護者向けのプログラムです。

 

メリット③子育ての伴走者が得られる

療育などで関わる先生に悩みを聞いてもらったり、一緒にお子さんの成長を発見して喜び合えることは、親御さんにとっても大きな心の支えになると思います。