運動会の徒競走で1位になったり、リレーの選手に選ばれたり、試合で活躍をしたり…。「足が速い」ということは、子どもにとって大きな自信と自己肯定感に繋がる特技の一つかもしれません。そこで今回は走りの専門家としてたくさんの子どもたちに技術指導を行ってきたまえだコーチにインタビュー。学校ではあまり習わない「足が速くなる走り方」についてお話を伺いました。
子どもの足が速くなる!走りの技術を劇的に向上させる方法【走り方指導の専門家が解説】 ※画像はイメージです/PIXTA

足の速さは何で決まる?遺伝と関係がある?

遺伝の影響はあると思います。筋肉には速い筋肉と遅い筋肉というものがあって、速い筋肉というのは短距離走のような瞬発力を必要とする運動を得意とします。この2つの筋肉の割合が遺伝によって変わると言われているので、足の速さにも影響してきます。

 

もう一つ、運動神経も関係すると考えられます。運動神経というのは思ったように身体をコントロールできる能力のこと。短距離走は全身を素早く動かして移動する運動なので、やはり運動神経が良い方が有利ですし、逆に言えば運動神経を高めたり競技のパフォーマンスを上げるために短距離走は有効なトレーニングでもあります。

 

生まれ持った遺伝の影響とは関係なく、正しい走りの技術を身につけることで、誰でも必ず足は速くなります。

 

足の速い子と遅い子の違いは?

足の速い子と遅い子の違いは次の3つが考えられます。

 

1)身体をコントロールする能力

いわゆる運動神経の違いです。例えば野球のバッティングでも「ここに打ってね」と言ってもできない子もいます。ですから脳からのアプローチも大事だと思います。

 

2)ジャンプの高さ・上手さ

ジャンプが苦手でドタバタと跳ぶような子は、走るときもドタバタしてしまうことが多いです。ジャンプの上手さというのは高さだけではなく、接地が軽いこともポイント。接地時間が短く、ジャンプ力が高い子ほど速く走れます。

 

3)全身の使い方

特に上半身の使い方がポイントで、例えばジャンプをする時も足が遅い子は足だけで跳ぼうとします。それに対して足が速い子は腕を大きく振った勢いを使ってジャンプをすることができます。

 

速く走るための正しいフォーム

速く走るためには次の4つを意識しましょう。

 

1)姿勢

 

ヘソとみぞおちの距離が最も長くなるような姿勢を保ちます。猫背になっても逆に背中を反っても距離は短くなるので、背を伸ばすようにまっすぐな姿勢を意識しましょう。

 

2)腕の振り方

 

顔の前からお尻の横まで大きくまっすぐに腕を振ります。ズボンのポケットを擦って音を出すイメージで大きく振りましょう。

 

3)足の接地について

 

地面に接地する箇所は足裏の前半分です。ジャンプをするときは足の前側に体重が乗りますが、ここが一番力が入りやすい場所。足の前半分でポンポン弾む意識を持ちましょう。

 

4)足の動かし方

 

足が遅い子によく見られるのが、膝を中心に動かす走り方。逆に速く走るためには股関節から大きく動かすことが大切です。例えば左足が接地している場合、反対の浮いている右の足首が左膝のラインを越えるように高く上げます。このイメージを持つことで股関節をメインに動かす走り方になります。