(※画像はイメージです/PIXTA)

気象庁は、5月29日に九州~東海地方が例年より1週間ほど早く「梅雨入り」したことを発表しました。梅雨の時期は洪水、土砂崩れ、集中豪雨といった水害が発生しやすく、近年、激甚化の傾向があります。水災被害に遭った場合に損害をカバーするのは「火災保険」の「水災補償」ですが、きちんとカバーされていないケースも多くみられます。本記事で、水災補償を付ける際のポイントについて解説します。

火災保険の水災保険金の支払条件と注意点は?

◆盲点となりがちな「浸水条件」

水災補償を付けるとして、要注意なのが、いわゆる「浸水条件」です。

 

浸水条件とは、水災保険金を受け取れる条件を意味します。以下の3つの条件のいずれかをみたす必要があります。

 

【浸水条件(以下のいずれか)】

1. 床上浸水

2. 地盤面から45cm超の浸水

3. 再調達価格(新価)の30%以上の被害の発生

 

「2. 地盤面から45cm超の浸水」と「3. 再調達価格(新価)の30%以上の被害の発生」は、大ざっぱにいえば、「床下浸水」が基本的にカバーされないという意味です。

 

これはきわめて深刻な問題となりかねません。というのも、エアコンの室外機、エネファーム等の充電設備・発電設備・蓄電設備、エコキュート等の給湯設備、エレベーター等の昇降設備等は、底部が「床下」にあるからです。

 

それらは「床下浸水」で被害を受けるリスクが高いうえ、修理費用等も高額になりがちです。

 

◆特定の機械設備に限り浸水条件を外せる「特約」も

そこで、最近、特定の重要な機械設備に限って浸水条件を外す特約が設けられました。

 

所定の機械設備が水災被害に遭った場合、浸水条件にかかわりなく、一定限度まで保険金を受け取れるという特約です。「特定設備水災補償特約」といいます。

 

今後、大規模な風水害が頻発するリスクが大きいことを考えると、被害にみまわれるエリアに家がある場合は、水災補償が必須なだけでなく、この「特定設備水災補償特約」も付けておくことをおすすめします。

補足|水災補償についての保険料の算定基準が見直しへ

最後に、2024年に予定されている、個人向け火災保険の水災補償に関する保険料の算定基準の見直しについて触れておきます。

 

現状、水災補償の保険料は全国一律になっています。しかし、水災被害の発生状況には地域差があります。そこで、リスクに応じた保険料の負担の公平性をはかるという観点から、「市区町村ごと」に「5段階」に細分化される見通しです。

まとめ

近年、水災被害の急増と激甚化の傾向が顕著となっており、水災保険金の支払額のデータからも露骨に見てとることができます。したがって、水災補償は急激に重要性を増しているといえます。

 

水災補償については、まず、必要か不要かをハザードマップで確認したうえで判断する必要があります。

 

もし、必要ということになれば、水災補償の内容・条件を把握し、カバーすべき損害がきちんとカバーされるようにすることが大切です。特に、「床下浸水」の場合に建物付設の重要な機械設備等の損害が予想されるならば、「特定設備水災補償特約」を付けることをおすすめします。

 

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