組合施工方式
◆組合設立認可申請
建替え決議後に建替え参加者の中の5人以上が定款と事業計画を定めて、建替え参加者の4分の3以上の同意を得たうえで市長等に「建替組合」の設立認可申請を提出します。
◆組合設立認可公告
市長等は、組合設立認可申請が提出されると申請された内容が法令に基づいているか否かをチェックします。
また、事業計画は2週間公衆の縦覧に供する必要があり、縦覧の期間が終了後2週間以内に意見書が出た場合には、その意見書を採用すべきか否かを検討します。
意見書がでなかったときや意見書が出されたものの示された意見を採用しないときは、組合の設立認可を認可し、認可公告をします。
なお、組合の設立認可公告から30日を経過した時点がマンションの評価基準日になるとともに、マンション建替組合員のなかで再建後のマンション(「施行再建マンション」といいます)の取得を希望しない者は、この期間内にその旨の申出を組合にすることになります。
さらに、第一回総会も設立認可公告から30日以内に行う必要があります。
◆権利変換計画の決議
施行再建マンションの設計が確定し、各組合員が取得住戸を確定すると、権利変換計画の案を作成します。
権利変換計画は、再建後のマンション(以下、「施行再建マンション」といいます)の設計計画等に加えて、各組合員の建替え前のマンション(施行マンションといいます)の評価と、施行再建マンションを再取得する場合にはその評価や施行マンションとの差額等を記載したものですが、建替組合の総会でこの権利変換計画について議決権と施行マンションの床面積の各5分の4以上で決議をします。
◆権利変換計画の認可
権利変換計画の内容が法律に適合しているときは市長等の認可によって、権利変換期日に施行マンションの権利は消滅し、施行再建マンションの権利が発生します。
なお、権利変換計画の認可申請を提出するときは、区分所有者以外の権利者(抵当権者や借家人等)の同意が必要となります。
権利変換期日
権利変換計画の認可が下りると、権利変換期日に施行マンションの権利が消滅し、施行再建マンションの権利が生じます。
このあとは建物の明渡しを受けて、施行マンションの解体工事に入ります。
このように、組合施行方式で建替えをするときは、マンション建替組合の特別多数決議と市長等の認可により建替えを進めることが可能となります。すなわち、建替え参加者全員と契約をしなくても、建替えを進めることができることになります。
ただし、手続きについては法律で定められているので、それらを踏まえて建替え計画を進める必要があることに注意が必要ですし、ここでの説明は割愛しますが、時間的な制約もあるので、具体的には、国土交通省が公表しているマンション建替えマニュアルや、これらについて解説した文献等をご参照ください。
大木祐悟
旭化成不動産 レジデンスマンション建替え研究所 副所長
伊藤朋子
NPO法人かながわ311ネットワーク 代表