東日本大震災時の“トモダチ作戦”に隠された思惑
【矢作】ひとつの例が、東日本大震災の時のトモダチ作戦ですね。メディアは、アメリカ側が作戦の予算として8,000万ドル(約68億円)を計上したことと、実際には何百億円を支払うことになるだろう、などということを報道していましたが、実際にはそんなわずかな額ではありませんね。トモダチ作戦はMSA協定におけるいい領収書になりました。
トモダチという関係ではあるけれど、残念ながら日本は金を払うという役目を負っています。役割分担があるから、文句を言ってもしょうがない。アメリカが負っている、血を流す、というのは大変な役目ですからね。
なぜ第二次世界大戦で最もひどい喧嘩をした国家同士がかくも手を握り合っているのかと言えば、はめられたという意味では格好悪いにせよ、やはり、われわれの先祖が、少なくとも戦術レベルでは立派に戦い、アメリカに尊敬されたからですね。
【宮澤】天晴の一言に尽きます。
【矢作】そういう意味で、われわれの先祖に対する感謝はきっちり押さえておかないといけないでしょう。犬死になどという言葉はまったくふさわしくありません。
相撲で勝って勝負に負ける、ではありませんが、単純に明らかなことで言えばアジアの民族の独立と解放を成功させました。人類として見た場合、勝敗よりもこちらの方が大きいと私は思っています。
戦後、日本が同盟関係を結ぶ相手としては、第一次大戦後覇権をアメリカに譲ったイギリスではやはりちょっと違うんですね。アメリカという人工国家と、日本という世界最古の自然国家が手を握り合うことに意味があります。
例えば中華人民共和国との間で、すべてを水に流して、本気で、心の底から同盟を組むということなどできるわけがなく、日米だからこそですね。
矢作 直樹
東京大学名誉教授
宮澤 信一
国際実務家
※本連載は、矢作直樹氏と宮澤信一氏の共著『世界を統べる者 「日米同盟」とはどれほど固い絆なのか』(ワニブックス)より一部を抜粋・再編集したものです。
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