事業承継・相続というと「相続税・贈与税」に頭が行きがちですが、その他にも重大な問題があります。特に同族会社においては深刻です。外資系生保会社のエグゼクティブ・ライフプランナーとして数多くの同族企業の事業承継・相続の問題に取り組んできた石渡英敬氏が、「事業承継」で目配りすべき問題点について、失敗例をまじえ解説します。※本記事は、石渡英敬氏の著書『新 事業承継・相続の教科書~オーナー経営者が節税よりも大切にしたいこと』(翔泳社)から一部を抜粋、再編集したものです。
遺留分の問題が見えづらくなってしまうワケ
どんなに事業を伸ばしている経営者でも、不測の事態に備えて内部留保は厚くしていきたいものではないでしょうか。
さらに、所得税・住民税の最高税率が55%であることも、給与を多くとるより会社に残そうというインセンティブが働きやすいといえます。
そのため、結果的に株価の上昇につながり、相続の際にドンと課税されることになります。それが税の対策に目が行きすぎることにつながり、遺留分の問題を見えづらくしてしまっているのです。
事業にタッチしない子の立場からは、経営者としての親の苦労は見えないものですが、株式はその他の財産と同様に、非後継者にとっても相続の対象です。
たとえば、後継者の兄にかかる税金だけが優遇されて、非後継者の妹にかかる税金は高くなったように見えてしまえば、当然、非後継者の気持ちを逆なですることになります。
親族承継の難しさをおわかりいただけたものと思います。
石渡 英敬
プルデンシャル生命保険株式会社
エグゼクティブ・ライフプランナー
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プルデンシャル生命保険株式会社
エグゼクティブ・ライフプランナー
1974年、神奈川県川崎市に生まれる。1998年、東京大学教養学部基礎科学科卒業。
大手広告代理店を経て、2005年にプルデンシャル生命保険株式会社のライフプランナー(営業社員)に。2015年、ライフプランナーの最高位「エグゼクティブ・ライフプランナー」に就任。
実家は祖父の代からスーパーマーケットを経営していたが、2015年(法人設立55期目)に経営難を理由に、三代目オーナー経営者の兄から第三者へ株式譲渡。ライフプランナーとしてその実現に深く関わる。「2代目3代目経営者のブレイン」「親族承継、永続経営のサポート」という立ち位置に特化した活動を続けている。
キャリアのある営業社員が専門性の高い最新知識などを学ぶ企業内大学「POJ University」の企画リーダー・講師を務める。自らの体験を共有する社内研究会には、毎回100名を超える参加者を集めている。
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