(※写真はイメージです/PIXTA)

いわゆる「なぁなぁの関係」は信頼関係があってこそ成り立つものです。もしも、その緩さにつけ込まれ、悪用されたら、一瞬でその関係は破綻します。その場合、悪用した側を法的にどこまで詰めることができるのでしょうか。そこで、実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、実印悪用のケースにおける法的対処について、江頭啓介弁護士に解説していただきました。

とっても大事な「実印」が押されているので、自分で押したのだろう(一段目推定)に対する反証

①実印は実家にいる実母が管理していて、相談者さんが普段管理していなかった。

 

②相談者さんは遠方に住んでおり、ここしばらくは実家に帰っていないし、家族に連絡もしていない。

 

③実印は実家のタンスに保管してあるが、家族以外、実印の保管場所を知っている人物はいなかった。

 

④保証人意思確認の電話をもらっていない(事実的整合性がない)。

 

⑤電話を掛けた時刻は、仕事で○○を行っており、電話に出られたはずがない(アリバイ立証)。

 

⑥そもそも実母や妹夫婦とは仲が悪く、そのような高額な保証人となることを承諾するはずがない(動機がない)。

 

⑦その他、相談者さんが実印を押していないことを直接、間接的に証明する事柄等。

 

文書の作成者を判断するにあたって、「実印」はとても重要な意味を持つことがお分かり頂けたでしょうか。実印が押されているだけで、その文書を作ったと疑われてしまうというのはとんでもない話かもしれませんが、それほど、日本社会における実印は重要なアイテムなのです。

今でも「押印」の影響力は大きい

最近、日本でもハンコの使用を減らし、電子契約の普及を推進する動きが盛んになってきました。

 

しかし、日本では、まだまだ押印文化が根強くあり、それに関連するトラブルも発生しているのが現状です。今回の相談でも、自分が知らない間に自分の実印が使用され、借金の保証人になってしまっていたというものです。

 

さて、自分の実印が使用され、契約の不成立を争う状況で、もっとも問題となり得るのが実印の「保管・管理」の状況です。

 

先ほどの回答の中でも触れましたように、実印などの印章は大切に自分のところで保管・使用されており、みだりに他人に使用させたりしないという、いわば普遍的価値観のようなものがあります。

 

そして、それに基づけば、例えば、親や配偶者に自分の印章管理を任せていたとか、誰もが見つけられる場所に置いていたというように他人が使用できる環境下で、実際に自分の実印が使用された状況であった場合に、たとえ自分が押印していなくても、押印により効力を有するものとして扱われ、自分にとって不利なことが起きてしまうこともあります。

 

それだけ「押印」の影響力は重く大きいのです。

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