「5月9日~5月15日のFX投資戦略」のポイント
〈ポイント〉
・先週の米ドル/円は、一時は年初来米ドル高値に接近したものの、その後は金融システム不安再燃、米債務上限問題への懸念などから米金利が大きく低下すると、それに連れて米ドル/円も急落するといった具合に上下に不安定な展開となった
・米債務上限問題について、金融市場は2011年の株・金利・米ドル「トリプル安」再現を警戒、今週~来週にかけてさらに注目が高まりそう
・米金利、米ドルの上値は重く、今週の予想レンジは132~137円を想定
先週の振り返り…「年初来米ドル高値」接近後に反転
週明けは、前週末の日銀の金融政策決定会合をきっかけに米ドル高・円安が加速した流れを引き継いでのスタートなり、そのまま3月に記録した137.9円という年初来米ドル高値に接近するところとなりました。
ただその後、米地銀の経営不安が浮上、金融システム不安が再燃したこと、また米債務上限問題への懸念も重なり米金利が大きく低下に向かったことから、米ドル/円もそれに連れた形で一時は133円台までの急落となりました(図表1参照)。
先週は、FOMC(米連邦公開市場委員会)など注目イベントも盛沢山の1週間でしたので、それらについても簡単に振り返ってみましょう。まずは、主な米経済指標の発表は以下のようになりました。
・4月ISM(米供給管理協会)製造業景気指数…予想46.7、結果47.1
・3月JOLTS(雇用動態調査)求人件数…予想977万件、結果959万件
・4月ISM非製造業景気指数…予想51.8、結果51.9
・4月失業率…予想3.6%、結果3.4%
・4月NFP…予想18万人増、結果25万人増
これを見ると、先週発表された経済指標は金曜日の米雇用統計など総じて予想より強い結果が多かったようです。こういったなかで、GDP予測モデルのなかでも定評のある、アトランタ連銀のGDPナウは、4~6月期のGDP成長率について、4日更新された最新の予想値が2.7%のプラスとなっていました。
以上のように見ると、3月の金融システム不安の浮上以降米景気減速への懸念が強まっていましたが、これまでのところでは景気急悪化への懸念は一息ついた形となっているのではないでしょうか。
こういったなかで、3日行われたFOMCでは、0.25%の利上げを決めるとともに、次回の利上げは見送る可能性を示唆するといった具合に、ほぼ事前の一般的な予想通りの結果となりました。その一方で、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は、年内の利下げの可能性に否定的な見方を改めて示しました。
以上をまとめると、金融システム不安の拡大を受けた信用収縮により、これまでの見立て以上に米景気が急悪化に向かうことでFRBは早期の利下げを余儀なくされる可能性は後退しているのではないでしょうか。
ただその割に、金融政策を反映する短中期の米金利はまだ政策金利のFFレートを大きく下回っており、早期の利下げを織り込む動きが続いています(図表2参照)。
景気対策以外で早期の利下げに現実味を与える可能性があるとしたら、それは米債務上限問題ではないでしょうか。
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