本記事のポイント
・4月の生産予測指数の見込みや工場建設などの設備投資ニュースも多くマクロ環境も好転
・海外投資家の現物株買い越しは4週連続
8ヵ月ぶりの高値引けで先高の兆候
今日の東京株式市場で日経平均は大幅に続伸。年初来高値を更新し、2022年8月以来8ヵ月ぶりの高値で引けた。今日で4月の営業日が終わったが、今年に入って月間では4ヵ月連続の上昇、負けなしである。今日は日銀会合の結果を受けて先物主導で買いが優勢となり、引けにかけて一段高を演じた。これだけを見ると、日銀の金融緩和現状維持を好感したように見えるが、それだけではないだろう。
明日から最大9連休となるゴールデンウイークだ。その直前に高値引けというのは、先高期待の表れだ。来週、日本のGWど真ん中、米国時間の2日、3日はFOMCもある。そんな重要イベントを控えて、これだけ買われるのは、地合いがよくなってきた証拠である。
今週の業種別パフォーマンスを振り返ると、1位が建設、2位不動産に交じって3位に輸送用機器が入った。6年ぶり最高益となるデンソー(6902)やアイシン(7259)が買われた。決算が本格化してきているが、全般に良好な印象だ。期待に届かず株価の反応は芳しくないものも目立つが、それは期待が高すぎただけだ。数字自体は、「増益」「最高益」のオンパレードでファンダメンタルズはいい。
マクロ環境も好転している。寄り付き前に発表された3月の鉱工業生産指数は前月から0.8%上がった。2ヵ月連続の上昇だった。自動車の生産が回復したほか、半導体製造装置の輸出が堅調だった。4月の生産予測指数は前月比4.1%の上昇を見込んでいる。
短観についてのレポート(小売業に多方面から追い風…日銀短観からみる「有望株」は?【ストラテジストが解説】)で今年度は設備投資が強そうだと書いたが、早くもそのような兆しが出ている。今日の日経新聞は、ホンダ(7267)とGSユアサ(6674)が国内で電気自動車(EV)や住宅に使う電池の開発や量産のための工場を新設すると報じた。昨日はTDKが高精度な磁気センサーの生産能力倍増のため長野県の工場で約350億円を投じ、生産ラインを増強するとのニュースがあった。
実はこうした工場建設のニュースはとても多い。台湾積体電路製造(TSMC)をはじめ、ソニー(6758)など半導体企業による大型工場建設のニュースは記憶に新しいところだが、新しい半導体企業ラピダスも、北海道千歳市で工場建設を始めると今月発表したばかりだ。統計で見ても、日本建設業連合会の発表によれば2022年度の国内建設受注額が2021年度比8.4%増の16兆2,609億円となり、過去20年で最高となったという。
コロナ収束…今後の日本株にさらなる期待
そしていよいよGW明けからはコロナが5類になる。社会・経済活動がますます活発になるだろう。足元の株式相場の堅調さは日本の景況感の改善・強さを先取りしての要素が多分にあると思われる。
そのことをよくわかっているのが外国人だ。JPX(日本取引所グループ)が発表した4月第3週の投資部門別売買動向によると、海外投資家は現物株を2,760億円買い越した。買い越しは4週連続で、6週連続だった2022年3~5月以来約1年ぶりだ。2022年は外国人の買い越しが途切れたあとも、夏場に高値をつけにいった経緯がある。
2023年は東証の資本効率改善要請やデフレ脱却期待など日本株の底上げにつながる息の長いテーマが豊富だ。そして、衆院の解散の思惑がある。新年度の第1四半期の決算発表のころ、夏場の高値は今年も期待できるのではないか。
広木 隆
マネックス証券株式会社
チーフ・ストラテジスト 執行役員
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