(※画像はイメージです/PIXTA)

4月は多くの会社にとって「年度初め」の月です。もしも、今期も前期と同じくらいの利益が出る可能性があるならば、次なる3月決算対策のために、早いうちから準備をしておくことが有効です。今のうちにしておくべきことの最たるものが「社長・役員の給与・ボーナス」です。条件をみたせば会社の経費にでき、社会保険料の軽減にもつながるといわれています。そこで、本記事では概要を説明します。

社長・役員の給与・ボーナスは「原則として」経費にできない

まず、社長・役員の給与・ボーナスは原則として会社の経費(損金)にできません。

 

これは、経営者が恣意的に自分の給与・ボーナスの額を変えることによって、法人の利益を操作するのを防止するためです。

 

ただし、これはあくまで原則であり、そのような利益操作のおそれが少ない場合には、例外として経費に算入することが認められています。その「例外」は以下の3つです。

 

【社長・役員の報酬を会社の経費にできる例外】

・毎月一定額の給与を支給する場合(定期同額給与

・ボーナスの額・支給時期をあらかじめ確定して税務署に届け出る場合(事前確定届出給与

・給与の支給額を会社の業績に連動させる場合(業績連動給与

 

このうち、本記事で重点を置いて解説するボーナスを費用計上できるしくみは「事前確定届出給与」です。

 

なお、「定期同額給与」について簡単に触れておきます。「会計期間開始日から3ヵ月を経過する日」までに金額を決めてその額を支給すれば、経費に算入できます。

 

いったん決めた給与月額は原則として期中で変えることはできませんが、以下のやむを得ない事情があれば変えることができます。

 

・臨時改定事由:役員の職制上の地位の変更、職務の内容の重大な変更等があった場合

・業績悪化改定事由:法人の経営状況が著しく悪化した場合

社長・役員のボーナスを経費にできる条件(事前確定届出給与)

事前確定届出給与は、ボーナスの額・支給時期をあらかじめ確定して税務署に届け出た場合に、経費として計上することが認められるというものです。

 

◆事前確定届出給与の経費計上に必要な手続き

事前確定届出給与の経費計上が認められる条件は、期限までに以下の2つの手続きを経ることです。

 

・株主総会決議等の意思決定

・税務署長への届出

 

まず、株主総会決議等によって、「支給日」「支給金額」「支給対象者」を定める必要があります。合同会社等の場合は「社員総会決議」が要求されます。

 

そのうえで、税務署長への届出を行います。

 

届出書(事前確定届出給与に関する届出書)には「定期同額給与による支給としない理由及び事前確定届出給与の支給時期を付表の支給時期とした理由」を記載しなければなりません。この理由については「資金繰りの都合」「支給時期を従業員の賞与と一致させる」等が考えられます。

 

◆届出の期限

届出の期限は、既存の会社と、新設の会社とで異なります。

 

まず、既存の会社の場合、以下のいずれか早い日です。

 

【既存の会社の届出期限】※いずれか早い日

・事業年度開始日から4ヵ月を経過する日

・「株主総会等の決議の日」または「職務執行を開始する日」のいずれか早い方から1ヵ月を経過する日

 

「事業年度開始日から4ヵ月を経過する日」は、4月1日に事業年度が開始する会社であれば7月31日いっぱいです。

 

また、「職務執行を開始する日」は、年度の途中から役員に就任した場合の基準です。

 

これに対し、新設の会社の届出期限は、設立日から2ヵ月を経過する日です。4月1日設立ならば、6月30日いっぱいということです。

 

税務調査を録音することはできるか?
相続税の「税務調査」の実態と対処方法

>>>12/10(火)LIVE配信

次ページ「支給額」「支給日」はピッタリ守らなければならない

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録