アムステルダムのRAI(会議および展示ホールの複合施設)にあるコロナウイルスの検査場所。写真:Depositphotos.com

いま、オランダの医療機関が限界に達しているという。同国の健康諮問機関は、「オランダ衝撃的なほど公的医療にお金をかけていない」と話す。ちなみに厚生労働省の調査によると、日本では令和2年度の国民医療費は42兆9,665億円だが…。オランダの不動産・政治経済・金融等に関する情報を中心に取り扱う、オランダ発ローカルメディア『DutchNews.nl』より翻訳・編集してお伝えする。

医療機関は限界、平均寿命はトップクラスから急落

コロナウイルスへの対応策について、オランダの医療機関が資金不足と人員不足で限界に達していることを示したと、政府の健康諮問機関Raad voor Volksgezondheid & Samenleving(RVS)は、火曜日に公表された報告書で述べている。

 

RVSは、過去と現在の公衆衛生政策について、「行き当たりばったりで断片的、短期的で投資に乏しい」と痛烈に批判している。「人口の半数が1つ以上の慢性疾患に罹患している一方で、健康格差が激しい」と報告書は述べている。同時に、平均寿命はトップクラスからヨーロッパ平均に急落している。

 

RVS会長のジェット・ブッセメーカー氏はNRCに対し『私たちは最先端を走っていましたが、着実に下降しています』と語った。

“衝撃的なほど”公的医療にお金をかけていない

「オランダの公衆衛生局(GGD)は、ワクチン接種、青少年ケア、感染症対策、汚染水などによる健康リスクの評価などを任務としている。 しかし、「悲惨な」資金不足と人員不足のために、パンデミックにおける負担の有無に関わらず、これを行うことができなかっただろう」、とRVSは述べている。

 

「オランダは、2019年の公衆衛生に28億ユーロ(約4,105億4,117万5,240円)、通常の医療に970億ユーロ(約14兆2,208億7,900万円)と、『衝撃的なほど公的医療にお金をかけていない』のだ。議会が出資する一部の保健委員会は、適切な資金を得るために毎年苦戦を強いられており、RVSは『崩壊寸前』にある」(RVS)

 

「公衆衛生への投資が進まない理由は、それが“セクシーでない”からかもしれない」とブッセメーカー氏は述べ、保健委員会の医師と専門医との間の地位の違いを挙げた。また、保健委員会が行っている仕事も、人々の目に触れにくいものであるという。

 

RVSは、公的医療の「狭く脆弱な基盤」を強化するために予算を増やし、平均寿命の延伸などの公的医療目標を法律に明記することを提言している。これを監督するのは、「公的医療デルタ計画」を担当する指定された政府高官である。

 

RVSは、「人員配置が課題だが、たとえば外科医を地元地域に派遣することにより、政府の公的医療関係機関について地元での認知度を高めるなど、国がより協調して努力することが助けになるかもしれない」と述べている。

この記事は、GGOが提携するオランダのメディア『DutchNews.nl』が2023年4月18日に掲載した記事「‘Shocking’ underfunding is putting public healthcare at risk: report」を翻訳・編集したものです。

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