「経済理論と無関係」オランダ中銀総裁、トランプ関税案に異議
オランダ中央銀行(DNB)のクラース・クノット総裁が、トランプ政権による関税政策に異議を唱えた。ロシア、キューバ、ベラルーシ、北朝鮮を除く全世界を対象に追加関税を課すという構想について、「その根拠は経済理論とはまったく関係がない」と厳しく批判した。
この発言は、ニュース番組『Nieuwsuur』で語られたもので、「もしこれがそれほど深刻な問題でなければ、笑い話で済ませられただろう」とも述べている。
間もなく退任を控えるクノット氏は、「貿易黒字が悪である」とする考え自体が誤りであると強調。「国によって発展段階が異なる以上、黒字や赤字は必要に応じて生じるものであり、それ自体が問題になることはない」と指摘した。
関税の影響はアメリカ国内にとどまらず、欧州、そしてオランダ経済に広がるものであるとし、クノット氏は「感情的な対応ではなく、冷静さを保ち、緊張緩和の余地を残した行動が求められる」と呼びかけた。
対米赤字は拡大の一途
アメリカは、EU域外においてオランダ最大の貿易相手国である。
オランダの中央統計局(CBS)によれば、本年最初の3ヵ月間において、オランダからアメリカへの輸出額は282億ユーロに達し、アメリカからオランダへの輸出額は444億ユーロであった。その結果、貿易赤字は163億ユーロにのぼった。
この赤字は前年の2倍であり、主な要因は米国からの原油および天然ガスの輸入増加である。
オランダは長年にわたりアメリカに対して構造的な貿易赤字を抱えているとCBSは述べている。また、2022年のロシアによるウクライナ侵攻以降、石油およびガスの輸入が一層重要なものとなっている。
現在、米国からの原油輸入はオランダ全体の23%を占めており、米国は最大の供給国となっている。また、米国はオランダにとって、医療機器・装置および医薬品の最大供給国でもある。
食品輸出への影響
アムステルダムに本拠を置く大手投資銀行ABNアムロによる過去の調査によれば、米国向けの食品輸出業者は関税による大きな打撃を受けると見られている。これには、ビールやスピリッツの製造業者、主にサーモンを輸出している魚類業者、ココアおよびチョコレートの輸出業者が含まれる。
また、インドの鉄鋼大手タタ・スチールのオランダ法人は、トランプ氏が計画している鉄鋼およびアルミニウム輸入への25%関税が、同社のアイモイデン工場に影響を及ぼすと表明している。ANP通信によれば、関税が発効した場合に備え、同社は「あらゆる選択肢を検討している」とのことである。
AEX指数の動向
一方、アムステルダムの代表的株価指数であるAEXは、金曜日も下落を続けている。トランプ氏の関税案および中国による米国製品への34%の輸入税発表を受け、テクノロジー株および金融株が2日連続で大きく値を下げた。
午後2時時点でAEXは3.8%の下落を記録していた。ただし、他の欧州主要市場よりも下げ幅は小さく、午後には若干回復した。鉄鋼大手アルセロール・ミッタルの株価はほぼ10%下落し、続いて、オランダの保険・年金・資産運用グループであるアエゴン、多国籍金融グループのING、ABNアムロも下落した。半導体企業ASMインターナショナルは、前日の下落に加えてさらに6.6%値を下げている。
米大手銀行JPモルガンは現在、世界的な景気後退(2四半期連続の経済縮小)に陥る確率を60%と見積もっている。
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