(※写真はイメージです/PIXTA)

近年しばしば話題になる「ブラック企業」の問題。長時間労働やパワハラといった目に見える問題だけでなく、給与面で微妙な細工をしているブラック企業もあるという。どういうことか。

もうすぐ初給料、賃上げした企業は多いが…

この春から働き始めた新入社員たちも、もうすぐ初給料を受け取ることになる。この春は、大企業の給与引き上げが話題をさらったが、そんな人気企業に就職できた新卒社員たちは、まだ仕事に緊張しつつも、給与の振り込みを楽しみにしているのではないだろうか。

 

大卒会社員(正社員、男性、平均年齢42.1歳)の平均給与(所定内給与)は、月39万4,400円となっている。そして、月収の3.4ヵ月分ほどの賞与を手にし、年収は647万8,000円というのが平均的な状況だ。

 

給与を年齢ごとに追うと、キレイな右肩上がりで増えていき、50代後半で月収51万円、年収で833万円とピークに達する。

 

【年齢別・大卒サラリーマンの給与】

 

20~24歳:231,600 円 / 3,415,500 円

25~29歳:268,000 円 / 4,518,400 円

30~34歳:316,400 円 / 5,335,200 円

35~39歳:368,200 円 / 6,252,200 円

40~44歳:411,200 円 / 6,844,800 円

45~49歳:455,800 円 / 7,480,400 円

50~54歳:509,800 円 / 8,418,800 円

55~59歳:514,800 円 / 8,334,000 円

60~64歳:431,900 円 / 6,497,600 円


出所:厚生労働省『令和3年賃金構造基本統計調査』より算出

 

大企業(従業員1,000人以上)大卒正社員(平均年齢41.5歳)の平均月収だが、こちらは43万1,500円。4ヵ月分ほどの賞与を手にし、平均年収は740万4,000円となり、平均値よりおよそ100万円年収が高い。

 

しかし、そんな現状から目を背け、耳をふさぐ人たちがいる。ブラック企業の重要員たちだ。

 

ネットのなかには、勤め先の「ブラックぶり」と嘆き、給与アップを泣く泣くあきらめている人たちの「嘆きの声」があふれている。

ブラック企業が「基本給を少額」に設定する理由

ブラック企業といえば、長時間労働、残業代未払い、そしてパワハラなど、法的な問題が満載だ。なかでも従業員が「給与面に疑問を感じる」という企業は意外に多く、そこで働く人たちからは「うちはブラックだからさ…」といった、冗談とも自虐ともつかぬつぶやきが聞こえる。

 

一方で、知ってか知らずか、そんなブラック要素たっぷりの会社で普通に働いてしまっているケースもあるため、要注意だ。

 

「基本給10万円って、マジか!!!」

 

ある会社員の男性は、給与明細に記された基本給に驚いたとSNSでつぶやいていたが、「基本給が驚くほど安い」というのは、ブラック要素の強い企業にありがちだと、ある専門家もコメントしている。

 

受け取る額が同程度なのであれば、基本給が安くてもかまわないという考え方をする人もいるようだが、基本給が低いことで損をするのは従業員だということは、よく覚えておいた方がいい。

 

企業の募集要項でよく見る「賞与:基本給3ヵ月分」との記載だが、基本給を低くしておけば、「昨年の賞与実績:基本給6ヵ月分」などと表現できてしまう。そこで「賞与は給与半年分か!」などと早合点してはいけないのだ。

 

前出のSNSの男性の場合、基本給の6ヵ月分なら賞与は60万円。大卒サラリーマンは平均年136万円程度の賞与を手にしているのだから、平均値の半分以下なのである。情報としては間違っていないが、あえて勘違いを狙っているかのような、悪質な表現ではないか。

 

基本給がベースになるものはほかにも、残業代、休日手当、深夜手当、退職金、昇給額などがある。ちなみに、ブラック企業とは無縁な大手企業であっても、人件費の抑制のために基本給を低めに設定しているケースは多い。

 

賃上げで「給与30%UP」などと報じられていても、重要なのは給料のどの部分を引き上げるかだ。巧みな数字マジックで「結局、ほとんど変わらないじゃないか!」ということも起こりうる。このような仕打ちを受ければ、働く気だって失せるというものだ。

 

従業員のためになる給与引き上げなのかか、それとも…。

 

インフレ下、ありがたいはずの賃上げだが、「勤務先のブラック体質が露見しただけ」とならないよう祈りたいものだ。

 

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