正社員・10年目でも「年収300万円」…どれだけ頑張っても「報われない人」が知らない、衝撃の事実

正社員・10年目でも「年収300万円」…どれだけ頑張っても「報われない人」が知らない、衝撃の事実
(※写真はイメージです/PIXTA)

国税庁「令和3年分 民間給与実態統計調査」によると、正規・非正規社員にかかわらずサラリーマンの3人に1人は年収300万円以下。どれだけ頑張っても報われないと感じる方は多いでしょう。実は、年収の大枠を決めるのは「業界×職種」であり、個人の能力ではありません。仕事内容が同じでも、そもそも勤め先が儲かる業界に属しているかどうかで年収が大きく変わるのです。森田昇氏の著書『年収300万円から脱出する「転職の技法」』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、見ていきましょう。

年収300万円で伸び悩むのは「そこで働いているから」

毎日仕事を頑張っているのに給料が上がらない。10年以上必死で働いているのに年収300万円のまま。そう悩んでいる皆さんに事実をお知らせします。転職しないと給料は上がりません。

 

今の会社で真っ当に働いても、歯を食いしばって働いても、身を粉にして働いても、あなたが入った会社と業界で年収の上限は決まっています。その上限まで達してしまったら年収300万円だろうと変わりません。スキルがあろうがなかろうが関係ありません。

労働者の努力・スキルでは破れない「年収の上限」

給料の下限は最低賃金で保障されているので、都道府県の最低賃金が上がる限りは増えますが、仮に時給1,000円が1,100円になったところで1日の賃金は800円アップが限界、1ヵ月の給料も税金を引かれると手取り計算では1万円アップ=年収12万円アップが関の山。これでは2022年以降のインフレによる物価高に耐えられません。また、これはあくまで下限の話であって、上限が同じように増えるとは限りません。あなたがいる会社と業界次第です。

 

社員からはガラスの天井のように目に見えない年収の上限は、何をしても破れません。会社では社長が、業界では構造が上限を決めているからです。会社は、与えられた職位・業務に見合う金額を対価として社員に支払いますので、「設定された範囲内のことをやっているだけでは給料アップは望めない」そう上司に言われたことがある人も多いと思います。しかし、どれだけ会社に価値貢献しても、当たり前のことですが、会社自体が儲からなければ私たちの報酬は上がりません。

 

会社は利益が明確に出ていなければ、経費となる人件費を上げることは不可能です。特に人間の労働力に頼る割合が大きい業界、たとえば農業や漁業等の一次産業や、サービス業や飲食業といった労働集約型のビジネスモデルはどうしても薄利多売になりやすく、給料が上がりにくいのが現実です。AIやIoT、ロボットの進展を待ちたいところですが、「人間の労働を奪われて人員削減」といった本末転倒なケースも出そうです。

「今の会社で年収アップ」の道もあるかもしれないが…

会社が儲かっているかの判断は、経営者や社長、場合によっては銀行等が行うものですので、「コロナ禍で経営に深刻なダメージを受けたから」といった理由で給料据え置きなのはまだしも、「ずっとこの金額で雇っていたから」なんて慣習で今の給料を続けているだけの場合もあります。ガッカリしますよね。会社や経営とはそんなものです。

 

皆さんは、自分がいる会社の給与テーブルをご存知でしょうか? これから年収は上がっていくのか、横ばいで止まってしまうのか、どの金額が上限なのか、ぜひ確認してみてください。社員が何も言わないので「ずっとこの金額で雇っていたから」との慣習を続けている会社も多いため、もし交渉の余地があるのなら、年収アップを訴えるのも手です。

 

給与テーブルは職種でも異なります。たとえばメーカーの場合、工場勤務と本社の経営企画室とでは明確に違います。IT業界でも技術を極めるエンジニアと、管理を追及するプロジェクトマネジャーで評価軸が異なります。これもぜひ確認してみてください。

 

会社内や業界内でも、職種が異なれば年収は変わります。「業界」に属する会社での「職種」とのかけ算「業界×職種」で年収の大枠は決まるから、でしたね。もし可能であれば、会社や業界を変えなくても、今の会社で職種を変える異動願いを出すのも手です。

 

ただし、この給与テーブルについては明確に存在しないか、存在しても社員にはなぜか非公表な企業もありますので、確認方法には気を使ってください。急に課長や部長といった管理職に向かって「うちの会社の給与テーブルを教えてください」と正面から聞いてしまうと、今の給料に、評価制度に、ひいては会社に文句がある不満分子だとレッテルを貼られる恐れがあります。

 

制度があって文書化されているなら人事評価制度の確認を、なければ親しい上司にそれとなくお伺いしましょう。

 

たとえ人事評価制度に基づいて課長や部長といった管理職に昇進しても、「管理監督者に該当する管理職は労働基準法に定められた労働時間・休憩・休日の規定が適用されないから残業代は支給しません」と、裁量労働制を一方的に押し付けられて給料が抑えられる。そんなブラックな企業もあるくらいです。明確な法律違反ですが。

 

また、日本の商慣習上、同じ会社であれば職種が違っても年収に差をつけにくい現実もあります。特に大企業では「異動」が慣習的にあり、エンジニアから人事になったり、経理から経営企画になったりする人もいます。「社内公募制度」が存在する会社もありますし、そういった制度がなくても希望に応じて異動させる例は多いので、「技術職から人事に異動希望ですと…年収は200万円減ります。職種が変わりますから。それでもいいですか?」なんてすると、異動する人はいなくなりますから。

着実に年収アップさせるなら、やはり「転職」

結論は、「会社か業界を変えないと年収は上がらない」です。会社内で職種を変えると業務内容や環境が変わるので希望の仕事に就ける可能性は高まりますが、年収アップには会社外で職種を変えなければなりません。ですので、最もおススメなのは、大事なことなので何度でも言いますが、転職です。

 

 

森田 昇

10回転職したキャリアコンサルタント・中小企業診断士

 

何の資格も技術もないまま就職氷河期の1998年に大学を卒業、社会人となる。新卒入社した年収300万円のブラックIT企業四天王の一角(当時。その後倒産)を3年で辞めた後、2社目は1ヵ月で、3社目は2ヵ月で退職。サラリーマン生活20年間で10回の転職を経験し、年収の乱高下を味わうも「ちょいスラ転職」で年収300万円からの脱出を果たす。

この転職法を紹介した再就職支援セミナーをハローワークで100回以上開催、2,000人の転職と再就職の支援をする。Twitterフォロワー数合計13,000人。著書に『売れる!スモールビジネスの成功戦略』(明日香出版社)がある。

※本連載は、森田昇氏の著書『年収300万円から脱出する「転職の技法」』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋・再編集したものです。

年収300万円から脱出する「転職の技法」

年収300万円から脱出する「転職の技法」

森田 昇

日本能率協会マネジメントセンター

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