日本で最も認知されている金融商品、投資信託
私がファイナンシャルアドバイザーとして相談を受けるなかで、投資信託に関する質問は非常に多い。投資信託は日本で最も認知されている金融商品であると言っても、過言ではないだろう。
投資信託は運用最小額が小さいのが特徴である。さらに、プロのファンドマネジャーに運用を任せることができるため、資産運用を始める入口として非常に有効な商品である。しかし、その商品数は6,000本以上あり、一見すると似たように見受けられる商品でも各々特徴があるため、どれをもつのが最良の選択か迷う事が多いだろう。
巷では「アクティブファンドはもつべきではない」「S&P500のインデックスをもっておけばいい」という声を漏れ聞くが、果たして本当にそうだろうか? 本記事では、投資信託の選び方に関する考え方を解説していきたい。
投資で運用成果をあげるために、最も重要なポイント
投資信託を選ぶ際に一番最初に考えるべき事項は、「どのアセットクラスの投資信託をもつか?」という点である。アセットクラスとは、株式や債券、不動産などの大きなカテゴリーのことを言うが、実は運用において最も重要となるのはこのアセットクラスの決定である。
運用パフォーマンスに与える影響を調べてみると、なんとアセットアロケーション(資産配分)が9割を占めるのである。過去の値動きなどを見ると、「S&P500もっておけば…」や「ここで買ってここで売っていれば…」などに目が行きがちだ。だが、銘柄選びや売買のタイミングはさほど重要ではない。
しかし、運用成果というものは「投資資金をどの種類(国内外の株・債券など)にどれぐらいの割合で投資するか?」によってほぼ決まってしまうのだ。すなわち「金融商品は買った時点で、すでに結果が出ている」と言える。
そのため、何を投資するかを判断する必要がある。もし、あなたが投資期間を長くとることができ、多少のリスクを許容できるのであれば、株式の投資信託をもてばよい。大がかりなリターンを追わずに、できるだけ値動きを抑えたいのであれば、債券の投資信託を中心にもつのがよい。
一般的に最も高いリターンが期待できるアセットクラスは株式であるが、その分リスクも大きい。S&P500は、リーマンショック時に、直前期から50%近く下落している。これは投資した資産が半分になってしまったことを意味する。実際にこのリスクを許容できるのかが一つの大きなポイントである。
相場に合わせてさまざまなアセットクラスを組み合わせるのも良いだろう。まずは自分の意向にあったアセットクラスを決定する事が必要である。