※画像はイメージです/PIXTA

このところ富裕層を中心に元気なうちに老人ホームに入居を考える人が増えてきました。その際、もっとも大きな悩みとなるのが「自宅をどうするか」です。空き家にしておけば家は傷みます。人に貸すのも管理が大変そう。とはいえ急いで売却して大損したり、トラブルを抱えたりするケースは少なくありません。自宅を売るのか売らないのか、売るならどのタイミングが最適なのか、老人ホーム選びのコンシェルジュが回答します。※プライバシーに配慮し、実際の事例と変えている部分があります。

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夫婦で老人ホームへの入居を考えているが…

【質 問】

80代の夫婦です。子どもはいません。老人ホームへの入居に際し身の回りをすっきりさせるには、自宅を売却しておくのが望ましいですか?(80代/夫婦)

 

【回 答】

元気なうちに売却するのが基本ですが、急ぎすぎるのも考えものです。資金に余裕があるなら、入居後1~2年で売却するのが望ましいでしょう。

余裕があるなら売却前に入居を

老人ホームの中でも「自立型」と呼ばれる元気なうちから入居できるところは、ケアハウスを除くと入居金が高い傾向にあります。快適な環境を望むなら最低でも3,000万円の準備金が必要になるでしょう。その資金が用意できるなら、まず入居して落ち着いてから自宅の売却を考えるのが理想です。

 

入居してから「思っていた生活と違う」「自分には合わない」と、別のホームに移り住むケースはみなさんが想像するより多いのが現実です。自宅を残してあれば、入居金の多くが戻ってくる入居後半年以内に退去し、自宅に戻って次のホームをじっくり選ぶことが可能になります。

 

しかし、入居前に自宅を売却してしまっていると、負の感情を抱いたまま日々の生活を送り、なおかつ転居先を探すことになります。高齢者にとってメンタル的な負担が体調に直結する例は少なくありません。部屋に引きこもったために認知症を発症したり、食欲をなくして急激に痩せてしまったりする方もいるほどです。「ここを終の棲家にする」と決心がついたところで売却に本腰を入れるのが得策でしょう。

夫婦の意見は一致しているか、しっかり確認しておく

質問者様のようにご夫婦で入居を考えている場合、旦那様は代々続いた家を残したい気持ちがあるのに、奥様はすべてを清算して次のステップに進みたいなどと意見が割れるケースもあります。このようにご夫婦で意見が割れている場合には焦らず、まずは新居での生活を楽しむことをおすすめします。

 

老人ホームでの生活が快適であれば、自宅に固執していた人も「売却しよう」という気持ちが強くなっていくものです。焦って強引に事を進めてしまうと、夫婦で一緒に暮らすのが嫌になってしまうケースもゼロではありません。

焦って安い売却額で納得してしまう高齢者は少なくない

お子さんのいないご夫婦では、自分たちが元気なうちに売却しようと急ぐあまり売りたたいてしまう例も目立ちます。資金に余裕があったとしても、今後、病気の治療などで高額な医療費がかかる可能性はゼロではありません。金融不安の大きい昨今、世界の経済事情を考えないまま「即決断」をするのは危険です。

 

家の売却は思った以上に心に大きな負担のかかる作業です。夫婦だけでは決断が難しい場合、私たちのような老人ホームのコンシェルジュに相談いただければ、不動産会社やフィナンシャルアドバイザーを紹介するなど細かな相談にものらせていただきます。

 

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次ページ入居後、最長でも3年以内には売却を終わらせたい

本連載は、株式会社パセリが運営する「MY介護の広場 老人ホームを探す『高級老人ホーム特集』」内の記事を転載・再編集したものです。

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