国税庁は「個人への税務調査」を積極的に行うと明言…「確定申告しなかった人」への追徴課税は“過去最高額”に【税理士が解説】

国税庁は「個人への税務調査」を積極的に行うと明言…「確定申告しなかった人」への追徴課税は“過去最高額”に【税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

税務調査と聞くと法人をイメージされる方も多いでしょう。しかし、実際には法人だけではなく、個人事業主として事業を営んでいる方や副業で収入を得ている会社員など、個人の方も税務調査の対象となります。税務調査で不正が発覚した場合には、本来納めるべき税金以上の税額を納付しなければならなくなります。今回は、個人を対象とした税務調査が増えている理由と税務調査の事前通知を受けたときには税理士に対応を依頼すべき理由についてご説明します。

近年増えている「個人を対象とした税務調査」

個人は法人と比較すると、税務調査を受ける確率は高くはありません。しかし、ここ数年、国税庁は個人を対象とした税務調査にも力を入れています。

 

■「インターネット取引を行う個人」に対する税務調査

昨今では、インターネットを使用してビジネスを行っている個人も増えています。国税庁では、オンラインショッピングでの販売利益やYouTubeで動画配信をして得ている広告収入、暗号資産取引で利益を得ている人などインターネット取引を行っている個人に対する税務調査を積極的に行うことを明言しています。

 

令和3事務年度における税務調査において、インターネット取引を行っている個人の1件あたりの申告漏れ所得金額は1,382万円、申告漏れ所得金額の総額は116億円にも上っています。また、1件あたりの追徴税額は266万円、追徴税額の総額は22億円にも達しています。このことからも、インターネット取引を行う個人に対し、積極的に税務調査を行う国税庁の姿勢を窺うことができるでしょう。

 

■確定申告を行わない「無申告者」に対する税務調査

一定の所得を得ている個人事業主や個人は、確定申告をする義務があります。しかしながら、確定申告をしない無申告の個人事業主や個人が存在するのも事実です。

 

自発的に適正な納税を行っている納税者に対し、無申告者がそのまま見過ごされてしまうことは非常に不公平な事態となります。そのため、国税庁では無申告者に対する税務調査も厳しく行っています。

 

令和3事務年度の無申告者に対する税務調査では、1件あたり2,923万円、総額1,119億円もの申告漏れ所得金額が発覚しました。1件あたりの追徴税額は過去最高の497万円、追徴税額の総額は190億円にも上っています。

個人に対する税務調査の流れ

個人に対する税務調査も積極的に実施されていることをご紹介しました。では、税務調査はどのような流れで行われるのでしょうか。

 

■一般的には「事前通知」がある

税務調査の前には、税務署から電話が入り、税務調査に入る旨の通知が行われます。通知を行うことによって帳簿の改ざんや証拠の隠滅などの不正行為が行われる可能性がある場合は、事前の通知なしに税務調査がなされますが、多くのケースでは税務調査前には事前通知がなされます。事前通知では、税務調査の日時についての相談がなされ、それまでに必要な書類を準備するように伝えられます。

 

■税務調査当日には何が行われる?

税務調査の当日になると、調査官が自宅やオフィスなどを訪れます。多くの場合、税務調査は2日間にわたって行われ、事業や副業の内容や状況などについて調査官から質問がなされ、同時に帳簿類などのチェックも行われます。

 

税務調査は必ずしも2日間で終わるわけではなく、調査が完了しない場合は調査官が資料を持ち帰り、調査が続けられます。その間も調査官から問題点が指摘され、追加で必要となる書類の準備や質問に対する回答を求められます。

 

■税務調査の結果によっては追徴課税が発生

実地調査が終了してから、1ヵ月後くらいに税務調査の結果が報告されます。申告内容に問題がない場合は、そのまま終了となりますが、所得額の申告漏れを指摘された場合には、税務署の指摘を認めて修正申告を行い、追徴課税分の税金を納付しなければなりません。

 

追徴課税では、本来納めるべき税金との差額に加え、過少申告加算税または無申告加算税をプラスした額の納税が必要になります。

 

税務調査では5年前までさかのぼって調査がなされるため、5年間、無申告であった場合にはかなりの額を一括で納税しなければならなくなります。

もし税務調査の通知が入ったら…

税務調査の通知が入った場合、まずは税理士に相談してみましょう。税理士に税務調査の対応を依頼するメリットをご紹介します。

 

【メリット①】税務調査前の自主的な申告によりペナルティを軽減できる

税務調査の通知を受けたものの、これまでに確定申告をしてこなかった、または確定申告はしているものの過少に申告しているという方もいらっしゃるでしょう。そのような方が税務調査実施前に自主的に修正申告をした場合は、過少申告加算税や無申告加算税などのペナルティを軽減することができます。

 

これまでの確定申告の内容に不安のある方や確定申告をしてこなかったという方の場合は、できるだけ早めに税理士に連絡し、自主的な修正申告をするべきかどうかを相談してみることをおすすめします。

 

【メリット②】税務調査の事前準備をしっかり整えられる

税務調査をスムーズに終えるためには、事前に必要な書類をしっかりとそろえることが大切です。

 

また、事前通知で準備するように伝えられた書類以外にも追加で資料の提出を求められることもあります。これまで税務調査の経験がない方であれば、すぐにその場で追加資料を出せないケースも多いでしょう。しかし、税務調査の経験を豊富に持つ税理士であれば、どのような書類を準備しておけばよいのかを把握しており、当日の調査をスムーズに進行させることができます。

 

【メリット③】税務調査当日も税理士が同席するため不安を軽減できる

税務調査当日は、税理士が同席します。そのため、調査官から専門用語を多用した質問や指摘がなされても、不足している部分については税理士にフォローしてもらえます。税務調査と聞いただけでストレスを感じてしまう方も多く、税務調査の当日に税理士がその場に同席することは精神的にも大きな安心を得られるでしょう。

まとめ

税務調査というと法人を対象とした調査を思い浮かべる方も多いですが、国税庁の宣言通り、個人や個人事業主に対する税務調査も積極的に実施されています。

 

税務調査によって無申告や過少申告など、正しく確定申告を行っていない事態が発覚した場合には、本来の税額に加え、ペナルティとしてより多い金額の納税を求められてしまいます。

 

副業として個人の収入を得ている方や個人事業主として所得を得ている方の場合、税務調査の事前通知を受けても相談できる相手が近くにいないため、一人で不安な気持ちを抱えてしまうケースは少なくありません。そんなときは税務調査に強い税理士法人に問い合わせることをおすすめします。

 

 

松本 崇宏

税理士法人松本 代表税理士

お客様からの税務調査相談実績は、累計1,000件以上。国税局査察部、税務署のOB税理士が所属し、税務署目線から視点も取り入れ税務調査の専門家として活動。多数の追徴税額ゼロ(いわゆる申告是認)の実績も数多く取得。

 

税理士法人松本

税務調査特化税理士法人として全国6ヵ所(渋谷、錦糸町、新宿、横浜、柏、大阪)にオフィスを構え、“成功報酬型”税務調査サポートを提供する税理士事務所では国内No.1の規模を誇る。国税局に勤めていた、いわゆる「国税OB」が複数名所属。税務調査相談実績は累計1000件以上。一般業種より税務調査が厳しいと言われる風俗業界の税務に10年以上特化し、追加徴税額ゼロ円の実績も多数。

※本記事は、税理士法人松本のブログより転載したものです。

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