(※写真はイメージです/PIXTA)

本記事は、マネックス証券株式会社が2023年3月15日に公開したレポートを転載したものです。

本記事のポイント

1.そもそも、世界の経済環境は「リスキー」なのか?
2.市場の警戒感レベル
3.日本株の反応
4.日本の金融機関のリスク
5.今後も同様の破綻が広がるか? 金融システム不安に発展するリスクは?

1.そもそも、世界の経済環境は「リスキー」なのか?

かつては、「FRBの過度な利上げによりリセッション入りは不可避だ、FRBの目指すソフトランディングは難しく、ハードランディングになる」とみられていたが……。いまや、「No Landing」といわれるほど、米経済は強い。

 

米国に加えて、中国もゼロコロナ政策をやめ、景気再開期待が高まっている。欧州も暖冬の影響からエネルギー価格が低下、インフレの落ち着きを好感して景況感が改善している。米欧中、そろってPMIは好不況の境目である50を超えてきた。IMFが2023年の世界経済見通しを上方修正したように、いまや世界中で景気が強くなっている。

 

出所:Bloomberg
[図表1]米国(緑)・欧州(青)・中国(赤)のPMI 出所:Bloomberg

 

マクロ的には中央銀行の利上げが経済を痛めていない、ということである。では、ミクロの観点、企業レベルではどうか。米国企業の倒産件数をみると、それなりに増えているが、利上げで増えた、という感じはない。コロナ対策による過剰給付、延命措置などの反動、自然増の範囲だろう。

 

出所:Bloomberg
[図表2]FOMC金利誘導目標(青)と米国企業倒産件数(白) 出所:Bloomberg

2.市場の警戒感レベル

では市場の捉え方はどうか? 危機モードにあるか? いわゆる「炭鉱のカナリア」の代表的なものであるクレジットスプレッド(CDSスプレッド:投資適格債とハイ・イールド債の上乗せ金利)をみると、直近の破綻劇を受けて跳ね上がってはいるが、それでも2022年夏・秋にも達しないレベル。

 

出所:Bloomberg
[図表3]投資適格債とHY(ハイ・イールド)債の上乗せ金利の推移 出所:Bloomberg

 

VIX(恐怖指数)も同様だ。

 

出所:Bloomberg
[図表4]VIX推移 出所:Bloomberg

 

NY連銀が出している社債市場ディストレス指数(CMDI)は、新発債の価格や流通市場における流動性などの情報を集計して算出しており社債市場の窮迫度を表す。これをみても、そんなひっ迫した状況にはない。ただし、更新は1ヵ月前の2月17日まで。

 

出所:Bloomberg
[図表5]ディストレス指数(白)とFOMC金利誘導目標(青)の推移 出所:Bloomberg

 

もう少し足元までのデータではOFRストレス指数というのがあるが、これも直近跳ね上がったがレベルは低い。

 

出所:Bloomberg
[図表6]OFRストレス指数推移 出所:Bloomberg

 

こうみてくると、市場でもそれほど動揺は広がっていない。あくまでも「局所的」なリスクというのが市場の捉え方だ。

3.日本株の反応

それにしては日本株の下げ方がきついが、これはこれまで好調だった裏返しだろう。下げ余地があるということだ。とくに日本株の好調さは銀行株買いに支えられていただけに、まさにそこが弱点になった。

 

出所:Bloomberg
[図表7]日経平均VSダウ平均(年初来、株価は先週末3月10日時点まで) 出所:Bloomberg

 

ファンダメンタルズは全体として健全だが、ひとたびこのようなリスクが顕在化すると、リスクオフ=ポジション解消の動きがでやすい。すでにそのような兆しがある。添付の画像は、白線が10年スワップ金利、オレンジ線が10年JGB金利。昨日の日中の動きでは、これまで金利上昇のヘッジで使用されていた白線のスワップ金利が低下する一方で、JGB金利が上昇するなど変な動きとなっている。これまでの、「円金利上昇+銀行株買い」の手じまいがでている。

 

出所:Bloomberg
[図表8]10年スワップ金利(白)10年JGB金利(橙) 出所:Bloomberg

 

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