高齢期の「働き方」はさまざま
「働けるうちはなるべく長く働こう」という主張に対する最も多い反論は、「歳を取ってから現役時代と同じ働き方をするのは無理」というものです。しかし、これは「働く=フルタイム勤務」という固定観念がもたらす誤解です。
高齢期の働き方は多種多様であり、現役期と同じ働き方をするかどうかは自分で決めればよいのです。
高齢期に想定される主な働き方は、[図表2]のとおりです。
◆再雇用・継続雇用
会社員の高齢期の働き方としてまず考えられるのは、これまで勤めていた勤務先で働き続けることです。勝手を知っている環境で引き続き働けるうえ、厚生年金保険や企業年金に加入していれば将来の年金額の増加が見込めるのがメリットです。
一方で、給与は一般的に下がる傾向にあるほか、かつての部下が上司になったりするなど、待遇や立場の変化によってかえって働きにくくなったりやる気をなくしたりするかもしれません。
◆転職
現役期に培ったスキルを活かしたいなら、そのスキルを活かせる所を探して転職するのも1つの方法です。
転職先が厚生年金保険や企業年金に加入していれば将来の年金額の増加が見込めるほか、転職先との交渉次第では現役期と同等あるいはそれ以上の待遇も期待できます。
ただし、新しい環境に飛び込んで人間関係などを一から構築する必要があります。
◆フリーランス
現役期に培ったスキルを活かすなら、転職だけでなくフリーランスとして働く方法もあります。会社員よりも自由に働けるのが最大のメリットですが、会社という後ろ盾がないため、自分の腕一本で挑戦することが求められます。
◆起業(会社設立)
現役期に培ったスキルや人脈を活用するなら、起業という道も考えられます。一国一城の主として自分の得意分野で活躍することに、年齢は関係ありません。
しかし、事業に係るリスクをすべて負う必要があるほか、人を雇うとなると従業員の生活もかかってくるため、責任はかなり重くなります。
◆パート・アルバイト
引退したらそんなにガツガツ働きたくないという場合は、パートやアルバイトとして働くのも手です。働き口は、求人サイトやシルバー人材センターなどで探すことができます。
シフト制なので自分の時間を優先して自由に働くことが可能です。ただし、時給制なので収入は安定しない場合もあります。