「WPP(継投型)モデル」とは
WPPモデルによる継投策の基本形は、「先発」、「中継ぎ」、「抑え」の3つの柱から成り立ちます。そして、この3つそれぞれに対応するのが、「就労延長(Work Longer)」、「私的年金等(Private pensions)」、「公的年金(Public pensions)」です。
・先発(スターター) :就労延長(Work longer)
・中継ぎ(セットアップ):私的年金等(Private pensions)
・抑え(クローザー) :公的年金(Public pensions)
◆【先発(スターター)】就労延長(Work longer)
就労延長とは、文字どおり「就労する期間を延ばすこと」であり、働けるうちはなるべく長く働くというものです。
わが国では現在、「生涯現役社会」を実現するべく、雇用・労働法制の改正が相次いで行われています。高齢者が年齢にかかわらず意欲と能力に応じて働ける環境が整備されつつあることは、就労延長を行ううえでは大きな追い風となっています。
◆【中継ぎ(セットアップ)】私的年金等(Private pensions)
次に、私的年金等が野球における「中継ぎ」、それも勝ちパターンで登板する「セットアップ」として、就労引退から公的年金の受給開始までの間をつなぐ役割を担います。
なお、WPPモデルにおける私的年金等は、企業保障(退職一時金・企業年金などの退職給付制度)や個人保障(貯蓄・個人年金などの自助努力手段)など、さまざまな制度・金融商品を総動員します。
これは、野球における「中継ぎ」も、1人の投手だけでなく複数の投手(中継ぎ陣)を起用することと同じです。
◆【抑え(クローザー)】公的年金(Public pensions)
最後に、公的年金が野球における抑えの切り札(クローザー)として、人生の終盤を締めくくる役割を担います。
公的年金の最大の機能は終身給付(終身年金)、すなわち、一度受け取り始めたら亡くなるまで受け取ることができる点にあります。これは、人生という「いつ終わるかわからない試合」の終盤を任せるリリーフエースにとっては欠かせない機能です。
また、わが国の公的年金には、受給開始年齢を65歳よりも遅らせることで年金額が増加する「繰下げ受給」というしくみがあり、これを活用することで終身給付の厚みをさらに増すことができます。
受給開始時期を柔軟に選ぶことができ、かつ増額された年金額を終身にわたり受け取ることができる繰下げ受給は、いわゆる「人生100年時代」では実に有効な選択肢です。