【がん保険は必要?】“未加入”の税理士が「加入しないワケ」と「加入した方がいい3つのケース」を解説

【がん保険は必要?】“未加入”の税理士が「加入しないワケ」と「加入した方がいい3つのケース」を解説
(※写真はイメージです/PIXTA)

日本人の死因トップを占める病気、「がん」。今や「2人に1人がなる」ともいわれ、がん保険に加入すべきか否か悩む人も少なくないでしょう。しかし、「万が一」の備えが過剰になると、保険貧乏にもなりかねません。がん保険の必要性を合理的に考えるとともに、加入を検討した方がよいケースについて見ていきましょう。板山翔税理士が解説します。判断に迷ったときの参考にしてください。

 

――がん保険には必ず入っておいた方がいいのでしょうか?

 

板山翔税理士:「高額療養費制度があるので治療費の自己負担には限度額がありますし、貯金で確保できるのであれば加入は必須ではありません。ただし保険に入った方がいい3つのケースに当てはまるのであれば、加入を検討しましょう。」

保険金は「受け取らずに終わる確率」の方が高い

私自身はがん保険に入っていないので、ことあるごとに加入を勧められます。保険屋さんや銀行員の方にはもちろん、家族や友達にまで勧められます。笑

 

数字に細かい私は、「保険は期待値がマイナスで、損する確率が高いので、保険に入らずに自分で貯金・運用しています。」といつも断り文句を入れるのですが、「今は2人に1人ががんになる時代で、もしがんになってしまったら…。」という脅し文句(?)が決まって返ってきます。笑

 

「もしがんになってしまっても、高額療養費制度があるので自己負担には限度額がありますし、そのぐらいのお金は計算して残しています。」と切り返したらたいてい引き下がってくれるのですが、「知り合いにがんの治療が長引いている人がいて…。」と粘られるケースも少なくありません。笑

 

たしかに2人に1人ががんになるのは事実ですが、60歳までにがんになる確率は1割前後、70歳までにがんになる確率は2割前後に過ぎず、すぐに大金が必要になる可能性はそれほど高くありません(参考:国立がん研究センターがん情報サービス 年齢階級別累積疾患リスク 2015年全部位)。

 

もちろん、「すぐにがんになってしまったら?」「治療が長引いてしまったら?」と不安を感じてしまうのであれば、がん保険に加入しておくのも一つでしょう。

 

しかし、保険の期待値がマイナスであることに変わりはないので、もしもの時に備えすぎると保険貧乏になりかねません。したがって、がん保険の加入は必須ではありませんし、私は加入しないという判断をしています。

 

ただし、だからといってがん保険が不要だとか、すべての保険が不要だと思っているわけではありません。むしろリスクを回避するための大事なツールだと思っています。

 

では、どういう場合は保険に入った方がいいのでしょうか?

 

ここからはがん保険に限らず、あらゆる保険について、保険に入った方がいいと考えられる3つのケースをご紹介します。保険に入るべきか否か、判断に迷ったときに参考にしてください。

保険に入った方がいい3つのケース

【1.損害額が大きく、貯金でカバーできそうにないとき】

火災保険や地震保険のように、保険事故が発生したときの損害額が大きく、貯金で払えそうにないものについては、保険に入っておいた方が無難でしょう。

 

私はがん保険には入っていませんが、掛け捨ての生命保険(収入保障保険)には入っています。

 

これも自分が死亡または要介護状態になってしまったときに、残った貯金ぐらいでは家族を養えないからです。

 

ちなみにがん保険についても、治療費を貯金で確保するのが難しい場合や、自分で積み立てて管理するのが苦手な場合は、加入をおすすめしています。

 

同じ考え方で、車の保険についても、任意保険の対人・対物保険は無制限としていますが、車両保険には入っていません。

 

対人・対物保険は貯金で払えないような高額になるおそれがありますが、自分の車の修理代ぐらいなら貯金でカバーできるからです。

 

【2.期待値がプラスになるとき】

保険そのもので期待値がプラスになることは少ないですが、国の優遇税制(所得控除や非課税制度)を使えば、節税メリットも考慮すると期待値がプラスになるケースもあります。

 

相続時の生命保険の非課税制度が典型例ですが、他にも様々なパターンがあります。

 

また、保険料を株や債券などに分散投資して運用してくれる資産形成型の保険商品であれば、期待値はプラスになります。

 

手数料を考えると自分でNISAやiDeCoを使って資産運用した方がリターンは大きくなりますが、自分で運用するのが苦手な場合は、保険で運用するのも一つでしょう。

 

たまによく病気をするから医療保険に入った方が得だとか、よく事故を起こすから車両保険に入った方が得だと言う人もいますが、そういう話ではありません。

 

病気のリスクが高い人は保険料もあらかじめ高く設定されていますし、車両保険も事故をするほど保険料が上がっていくので、支払った保険料の総額以上の保険金がもらえる確率はやはり高くありません。

 

もちろん、医療保険や車両保険についても、貯金で確保するのが難しい場合や、資金管理が面倒な場合は加入をおすすめしています。

 

【3.精神的な不安が大きいとき】

数学的には保険に入らずに貯金した方が得だと言われても、保険に入っていないと不安で仕方がないというタイプの人もいます。そういった方は、損得にこだわらずに保険に入るのも一つでしょう。数字がすべてではありませんし、安心を買うという考え方もありだと思います。

 

ただし、安心を買いすぎて金欠になるケースもあるので、今必要なお金が不足するリスクにも目を向けるようにしてくださいね。

 

 

板山 翔

板山翔税理士事務所 代表、税理士

 

おそらく日本初の「オンライン専門の税理士事務所」の創設者。自社の事業を「税理士業」ではなく、「経営に必要な情報をオンラインで提供する事業」と捉え、経営戦略コンサルタントとしても活動している。従業員5名以下の小さな会社の経営者を中心に、「小さな会社だからこそできる差別化戦略」の立て方や、「短期間で売上アップするためのマーケティング戦略」、「長期的に資産を形成していくための財務戦略」などを教えている。

 

 

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