3Sをベースに信頼関係を育んでいく
■3Sを前提としたチーム作りをする
具体的に、従業員のモチベーションやスキル開発が促進されるチーム作りをするためのコミュニケーションについて、お話をします。
私は、スタッフがイキイキワクワクしなければ、お客様を笑顔にできないと思っています。
高い顧客満足度のベースは高い従業員満足です。高い従業員満足度を実現するために最も重要なのが、ストレスのない店内コミュニケーションです。店長と店舗スタッフとの関係性は高い顧客満足度を実現するために欠かせません。
そこで私はシンプルに、店長に3つの視点でのコミュニケーションに気をつけてくださいといつも伝えています。私はそれを「3Sコミュニケーション」と呼んでいます。
具体的には、
「承認」
「尊重」
「賞賛」
の3つです。
まずは承認です。承認とは直接仕事ぶりを確認して「いつもありがとう」と伝えるコミュニケーションです。マズローの5段階欲求説の上から2、3段目は承認欲求です。かつてのマネジメントは生理的欲求と安全の欲求を給料で満たし、一気に自己実現(目標達成)の欲求に振り切っていました。
ですから、認められる、褒められるということがないのです。なくても右向け右でマネジメントできた時代は統率も容易だったため組織拡大に向いていました。
しかし、今は多様化の時代です。かつてのマネジメントで我慢を強いられるわけではなく、離職をしてもっと承認欲求を満たしてくれる「良い会社」を探すことができるようになりましたし、一般的にもなりました。
結果的にかつてのマネジメントは機能しなくなりましたが、まだまだ承認よりも𠮟責が多い企業はあります。過渡期だからこそここでマネジメント改革をしていかないと優秀な人材はおろか、採用自体ができなくなり企業規模縮小を余儀なくされると思います。
何をしているのかをしっかりと見て褒める癖をつけることが大切です。日々の些細なコミュニケーションですが、スタッフは「ありがとう」と言われた回数に比例してモチベーションが高まります。
続いて尊重です。尊重とは、承認欲求に近しいものがあるのですが、人として大切に扱われたいという欲求です。
よくあるのが「呼び捨て」です。
企業で主従関係があるため一般的ではありますが、「おい、田中!」と呼び捨てすることに嫌悪感を持つ人が増えてきました。中には「おい!」「お前」と名前すら呼ばれない感情的なコミュニケーションをする人もいますが、絶対にやめた方が良いです。
本人が苦痛を感じた時点でパワハラです。もちろん信頼関係が完全に構築されていて呼び捨てにされることに慣れている、全く不快感がないという状況であれば別ですが、多くの部下は嫌悪感を持っています。
ですから、さん・くん付けをすることを基本にコミュニケーションをとるようにしましょう。信頼関係が育めたらあだ名で呼ぶくらいが良いと個人的には思っています。最後に賞賛です。店長や店舗経営者と店舗スタッフはそもそも仕事の基準が違います。当たり前だと思ってやることと精一杯やったことの領域が違います。
店長にとっては当たり前だと思うことも、店舗スタッフにとっては精一杯やったということも多々あります。
私は仕事では「これくらいできて当たり前」と思うのはやめましょうと伝えています。なぜなら、取り組んでくれたことを「いつもありがとう! 本当に助かってるよ!」と賞賛することで、店舗スタッフのモチベーションが上がるからです。結論として褒めないよりは褒めた方が良いと思っています。スタッフも褒められることで「店長はちゃんと私の存在を認めてくれている」とポジティブな関係に満足を示してくれます。
3つのS(承認・尊重・賞賛)をベースに日常からコミュニケーションをとりましょう。
今の店長がまだ店舗スタッフだった時代の店長は、かつてのマネジメントが多いです。だからそのまま同じようなマネジメントを踏襲して部下とコミュニケーションをとり、思うような関係が築けないということがよくあります。厳しくしすぎるのは時代的にも合っていないので3Sをベースに信頼関係を育んでいきましょう。
店舗スタッフに強く言えない、店舗スタッフが年上、という場合もあるでしょう。かつてのマネジメントとは真逆で、言いたことが言えずに全部自分自身で抱え込んでしまう店長も、同様に3Sコミュニケーションに取り組んでみてください。
別に店長だからといって気張ってリーダーシップを発揮しなければいけないわけではなく、相手を思いやる性格(店舗スタッフに物申せないタイプ)の店長だからこそ、厳しさとは無縁のマネジメントも3Sコミュニケーションを続けていくことで成立します。
成田 直人
ジャパンブルーコンサルティング株式会社代表取締役
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