(※写真はイメージです/PIXTA)

認知症を発症するということは「法的な死」を意味することをご存じですか? 認知症が進むと、重要な法律行為ができなくなるからです。認知症を患うと「財産凍結」により家族でも預金が引き出せなくなります。さらに、実家も売れない、贈与もできないという事態に陥ります。では、どのような事前対策ができるでしょうか? 税理士向けに相続の講演なども行う税理士・牧口晴一氏の著書「日本一シンプルな相続対策」(ワニブックス)より一部抜粋し、分かりやすく解説します。

親の死に目に会えなくても大丈夫!

死に目に会えないことは不幸だという思い込みを拭い去らなければなりません。

 

日本では、多くの人が「死に目」に会うことが大切だと誤解しています。「霊柩車や葬列を見たら親指を隠せ!親の死に目に会えなくなる」とか「夜爪を切ると親の死に目に会えない」という迷信を小さい頃から親に言われ続けていつの間にかそう信じ込んでいます。それが、人を不幸にしているのです。

 

だから、ご家族が臨終に立ち会おうとして片時も離れずに見守り、息を引き取る瞬間を見届けようと頑張ってしまいます。

 

あなたが仕事で忙しいからだけではありません。昔とは働き方も異なって、海外にいることすらあります。親子の別居も当然のようになりました。

 

コロナ禍で面会すらできないまま亡くなることもあります。それらは、仕方がないことです。あなたがひとりで傷つくことではありません。死に目に会えないことは不幸ではないと、まずは心に留めて、あなた自身のグリーフ(悲嘆)ケアにあたってください。

 

「亡くなるときに一番大切なのは、その瞬間を見届けることではなく、本人が楽に逝けること」です。

 

亡くなったら、故人に特に遺志がない限りは、下手に家族葬などにして一般の方の弔とむらいの機会を奪わないことです。あなた自身の後悔になることがあります。別れの「時」を大切にしてください。

 

私の父母のときは、やはり死に目に立ち会ってはいません。共に「本日の未明に…」などの電話があって、学校や仕事を放り出して駆けつけるしかありませんでした。ごく普通に、葬儀を葬儀社に促されるようにしましたが、何の後悔もしていません。

次ページ葬儀後の各種手続きを、シンプルにする方法

※ 本連載は、牧口 晴一氏の著書『日本一シンプルな相続対策』(ワニブックス)から一部を抜粋し、再構成したものです

日本一シンプルな相続対策

日本一シンプルな相続対策

牧口 晴一

ワニブックス

普通の家庭にある日、突然に悲劇が訪れる! 認知症という「法的な死」があるのをご存じですか? 認知症になると「財産凍結」で家族でも預金は引き出せず、実家も売れない、贈与もできない……やがて遺言書も書けなくなる。 …

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