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「模試の結果=志望校に対する自分の実力」?
記述型の全国模試において、4教科(英語、数学、理科2科目)すべてで偏差値65以上をそろえないと合格できないといわれている昨今の私立医学部受験では、「模試で常に偏差値70以上だったのに落ちる」、逆に「ずっと偏差値50台だったのに合格する」といった番狂わせがよく起こります。
これには、受験生や保護者の方が見落としがちな「受験形態の落とし穴」が隠れているのです。以下に説明していきます。
保護者の方のなかには、子どもの小学受験や中学受験を経験した人も多いことでしょう。塾講師や学校の先生と話すなかで、「判定がよくないから志望校を変えたほうがいい」と言われたことはありませんか?
小学受験や中学受験には浪人という概念がなく、ほとんど一発勝負の世界です。ですのであまりよくない判定が出た学校に絞るような冒険は避け、A判定、B判定といった安全圏へ志望先を変えることがあります。このような経験をしていると、どうしても、「模試の結果=志望校に対する自分の実力」と、捉えてしまいがちですよね。
しかし、医学部受験の場合は事情が異なります。
私立医学部ほど「模試の偏差値」はアテにならない
受験において、模試の偏差値は悪いよりはいいに越したことはありません。ただ、大手予備校が開催する模試は、全国のさまざまなレベルの人に向けてありとあらゆる大学の判定に対応できるよう、クセのない標準的な問題で構成されています。
よって、他学部との共通問題で構成されるような国立大学などの受験を考えている場合は、判定も効果的な試験であるといえるでしょう。
一方、ほとんどの私立大学医学部の入試問題は、大学ごとに強い特色が見られます。一度解いたことのある、やや難系の問題をひたすら羅列するパターンもあれば、これまで目にしたことのない初見の問題で、応用力や論述記述力を見極めようとする方式もあり、その種類はさまざまです。
これらの「変化球」とも呼べる問題に、大手予備校の開催する模試は対応していないのです。
つまり、模試の結果がいい人は、「まんべんなく基礎が身に付いている人」「標準的で、正攻法からくる問題には強い人」とはいえますが、だからといって、私立の試験問題を解く実力があるとは限らないのです。
特にここ数年はコロナ禍ということもあり、大学の会場が使えないため自宅受験や提携塾・予備校での実施が増えました。そのためか、問題や解答の管理が甘く、インターネット市場で事前に問題が売買されているケースもあり、それを入手してしまう受験生もいるようです。
そんなことをして何の得になるのかはわかりませんが、不安やプレッシャーから事前に問題や解説に目を通して高偏差値を叩き出す受験生も、一部ながら実在します。そのような受験生は、答案用紙に書かれた解答をみれば私たちのようなプロ講師は一発で見抜けるのですが、親御さんはそこまではわかりませんから、我が子は頑張っているのだと勘違いしてしまうことになるわけです。