(※写真はイメージです/PIXTA)

不動産クラウドファンディングは、少額から始められることで話題となっている投資手法です。手軽に始めやすい一方で、契約解除やクーリング・オフをできるかどうか気になっている方もいるでしょう。結論からお伝えすると、不動産クラウドファンディングではクーリング・オフによる契約解除が可能です。本記事では、不動産クラウドファンディングのクーリング・オフの適用条件や手続きの手順などについて解説します。

不動産クラウドファンディングのクーリング・オフ及び契約解除はできる

不動産クラウドファンディングは、契約を締結した後でもクーリング・オフ制度を利用することによって解約できます。

 

クーリング・オフとは、消費者を守ることを目的に定められた制度です。クーリング・オフ制度では、取引成立後に消費者が落ち着いて考える期間を設けており、契約から一定期間内であれば無条件で契約解除が認められます。

 

ただし、すべての商取引に適用されるわけではなく、法律上で定められている取引がクーリング・オフの対象となります。不動産クラウドファンディングは不動産特定共同事業法に基づいており、同法第26条によってクーリング・オフできる旨が定められています。

不動産クラウドファンディングのクーリング・オフ、適用条件は?

■クーリング・オフ期間は契約から8日以内

不動産クラウドファンディングは、契約書面の受領から8日以内ならクーリング・オフが適用されます。その他に条件はなく、8日以内であれば、投資家から一方的に解約できます。

 

ここでは、不動産クラウドファンディングの契約書面とクーリング・オフの起算日について解説します。

 

■クーリング・オフ期間の起算日は書面の受領日

クーリング・オフ期間の起算日は、所定の法定書面を受け取った日と定められています。日数のカウント方法は書面の受領日を含めて8日以内であり、受け取りから8日後までではない点を念頭に置いておきましょう。

 

例として9月1日に書面を受け取った場合は、1日を含めて8日間となるため、9月8日まで契約解除ができます。8日後の9月9日になると、クーリング・オフは適用できません。

 

■不動産クラウドファンディングの契約書面とは?

クラウドファンディングにおいてクーリング・オフの起算日にかかわる法定書面は、契約締結時に交付される書面です。

 

現物不動産に例えると売買契約書の役割を果たすもので、事業者によって「契約成立時書面」や「契約締結時交付書面」など、書面の名称は異なります。

 

このほか、契約前に交わされる書類として重要事項説明書や契約成立前書面がありますが、この2つはクーリング・オフの起算日には影響ありません。

 

■契約書面を受け取る方法は?

不動産クラウドファンディングの契約書面は、電子メールやWeb上で発行されます。

 

不動産クラウドファンディングのサイト上で申し込みが完了すると、契約書面を添付したメールが投資家宛に届くことが多いです。その他、専用ページで書面の閲覧やダウンロードができる場合もあります。

 

メールの受信やダウンロードにより契約書面を受け取った日がクーリング・オフの起算日になることが、不動産特定共同事業法施行規則 第43条・第44条において定められています。

契約から9日以降でも解約できる?よくある質問

ここまでで、不動産クラウドファンディングにおいてクーリング・オフができることはわかりました。そのほか、契約解除に関してよくある質問としては、中途解約の可否や違約金・損害賠償の有無などが挙げられます。それぞれ見ていきましょう。

 

【①契約から9日以降でも中途解約はできる?】

原則として、クーリング・オフ期間が終了した後は解約不可と定められている場合が多いです。ただし、やむを得ない事由がある場合は契約解除できる事業者もあります。

 

具体的な解除事由については公表されていないため、事情がある場合はまず問い合わせをしてみるとよいでしょう。

 

【②違約金や損害賠償は請求される?】

クーリング・オフによる契約解除を行うことで、違約金や損害賠償を請求されることはありません。不動産特定共同事業法第26条により、クーリング・オフに対して違約金等を設定することは禁止されているためです。

 

繰り返しになりますが、書面の受け取りから8日以内であれば、無条件で契約解除ができます。

不動産クラウドファンディングでクーリング・オフを行う手順

前項までは、クーリング・オフの適用期間や契約書面などについてお伝えしてきました。ここでは、実際にクーリング・オフを行う際の手順を見ていきましょう。

 

①クーリング・オフの申込書(通知書)をダウンロードする

② 書面に記入し事業者へ送る

③事業者から出資金が返金される

 

クーリング・オフの手続き方法としては、書類の郵送が指定されているケースが多いです。事業者ごとに指定のフォーマットがあり、ほとんどの場合は公式サイトからダウンロード可能です。

 

住所・氏名や解約する案件名などの必要事項を書類に記入し、事業者へ送ると契約解除の申請が完了します。申請後に投資家が行うべきことはなく、事業者側で書面を確認でき次第、出資金が返金されます。

まとめ

不動産クラウドファンディングは、契約書面の受領日から8日以内なら、無条件でクーリング・オフができます。違約金や損害賠償を請求されることもありません。

 

書面の受領から9日以降は原則として解約不可の事業者が多いため、契約解除を希望する場合は期限内に所定の手続きを行いましょう。

 

また、これから不動産クラウドファンディングを始める方は、クーリング・オフができることを念頭に置いておくと、安心して取引に臨めるのではないでしょうか。

 

 

執筆:悠木 まちゃ

ライター・編集者

宅建士・FP3級の資格保有。国立校の建築学科を卒業後、ハウスメーカーに勤務し、営業・設計職を担当。新築戸建て住宅のほか、事務所建築や賃貸アパートの設計などを手掛ける。

その後、2019年よりフリーライター・編集者として活動。実務経験を活かし、不動産・金融系の分野を中心に記事執筆から編集まで行う。多数の企業メディアで編集を担当するほか、ライター向けオンラインサロンの添削講師としても活動している。

 

 

監修:中村 昌弘

Webライター・編集者

株式会社なかむら編集室 代表取締役

1985年生まれ埼玉県出身。立教大学を卒業後、マンションディベロッパーへ入社。その後は人事コンサル系の会社へ転職し、2016年2月に独立。独立と同時にWebライターをはじめる。SEOライティング × セールスライティング × 書籍編集 × サロン(Webライターラボ)運営など、幅広く活動中。

 

※本連載は、J Sync株式会社が運営する『OWNERS.COM』(https://cf-owners.com/)のコラムを転載したものです。

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