コイン2枚を投げて「2枚とも表」になる確率は何%か?うっかり間違えがちな「確率」の基礎知識

コイン2枚を投げて「2枚とも表」になる確率は何%か?うっかり間違えがちな「確率」の基礎知識
(※写真はイメージです/PIXTA)

AIの発達は目覚ましく、今や「AIが人間の仕事を奪う」とさえいわれます。今後、AIの強みと弱みの両方を正しく理解し、AIとうまく付き合っていくためには、AIが判断の拠り所としている「数学」の素養が欠かせません。本記事では、大人向けオンライン個別指導塾を主宰する永野裕之氏が著書『文系でもわかるAI時代の数学』(祥伝社)より、今やビジネスに欠かせない「確率」の基本的な考え方をわかりやすく解説します。

確率に関わる「大数の法則」とは

数学的確率を求めることが難しいケースも扱う応用統計等では、統計的確率は大変有意義ですが、単に「確率」と言うときは、数学的確率を指すことが多いです。

 

ちなみに実験回数が多くなればなるほど(サンプルの数が限りなく大きくなると)統計的確率の値は、数学的確率に限りなく近づくことがわかっています。これを大数(たいすう)の法則と言い、スイスの数学者ヤコブ・ベルヌーイ(1654-1705)によって発見されました。ベルヌーイは次のようにも言っています。

 

「すべての出来事の観測が永久に続く(したがって最終的な確率が完全なものへ近づいていく)としたら、世界中のすべてのことが一定の比率で起こると感じられることだろう。最も偶発的な出来事でさえ当然の結果であると認識することになるであろう」

確率の定義式

ここに2枚のコインがあります。これらを投げて2枚とも表である確率を求めてみましょう。

 

2枚のコインの表・裏の出方は(表・表)、(表・裏)、(裏・表)、(裏・裏)の4通りがあります。よって(表・表)である確率は1/4です。

 

この問題の典型的な誤答も紹介しておきます。

 

「コインの表と裏の出方は(表・表)、(表・裏)、(裏・裏)の3通り。よって(表・表)になる確率は1/3」

 

この考え方はどこが間違っているのでしょうか?

 

(数学的)確率は、起こり得るすべての場合の数に対する特定のケースの場合の数の割合を計算して求めます([図表1])。

 

[図表1](数学的)確率の求め方

 

しかし、この計算をするときには大前提があります。それは、場合の数を数えるときに「同様に確からしい」ものの数を数えることです。

 

「同様に確からしい」というのは、起こる場合の1つひとつについて、そのどれが起こることも同じ程度に期待できるという意味です。

 

たとえば、ジャンボ宝くじには1等〜7等、1等の前後賞、1等の組違い賞の計9種類の「当たりくじ」とそれ以外の「外れくじ」があります。くじの種類としては全部で10種類です。でも、だからと言って、「1等が当たる確率は1/10」と考えるのは明らかにおかしいですね。

 

言うまでもなく、10種類のくじの出やすさはそれぞれ同じ程度に期待できるわけではない(同様に確からしくない)ので、「1/10」は「1等が当たることが期待される程度」を表す数値とは言えません。

 

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文系でもわかるAI時代の数学

文系でもわかるAI時代の数学

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