確率に関わる「大数の法則」とは
数学的確率を求めることが難しいケースも扱う応用統計等では、統計的確率は大変有意義ですが、単に「確率」と言うときは、数学的確率を指すことが多いです。
ちなみに実験回数が多くなればなるほど(サンプルの数が限りなく大きくなると)統計的確率の値は、数学的確率に限りなく近づくことがわかっています。これを大数(たいすう)の法則と言い、スイスの数学者ヤコブ・ベルヌーイ(1654-1705)によって発見されました。ベルヌーイは次のようにも言っています。
「すべての出来事の観測が永久に続く(したがって最終的な確率が完全なものへ近づいていく)としたら、世界中のすべてのことが一定の比率で起こると感じられることだろう。最も偶発的な出来事でさえ当然の結果であると認識することになるであろう」
確率の定義式
ここに2枚のコインがあります。これらを投げて2枚とも表である確率を求めてみましょう。
2枚のコインの表・裏の出方は(表・表)、(表・裏)、(裏・表)、(裏・裏)の4通りがあります。よって(表・表)である確率は1/4です。
この問題の典型的な誤答も紹介しておきます。
「コインの表と裏の出方は(表・表)、(表・裏)、(裏・裏)の3通り。よって(表・表)になる確率は1/3」
この考え方はどこが間違っているのでしょうか?
(数学的)確率は、起こり得るすべての場合の数に対する特定のケースの場合の数の割合を計算して求めます([図表1])。
しかし、この計算をするときには大前提があります。それは、場合の数を数えるときに「同様に確からしい」ものの数を数えることです。
「同様に確からしい」というのは、起こる場合の1つひとつについて、そのどれが起こることも同じ程度に期待できるという意味です。
たとえば、ジャンボ宝くじには1等〜7等、1等の前後賞、1等の組違い賞の計9種類の「当たりくじ」とそれ以外の「外れくじ」があります。くじの種類としては全部で10種類です。でも、だからと言って、「1等が当たる確率は1/10」と考えるのは明らかにおかしいですね。
言うまでもなく、10種類のくじの出やすさはそれぞれ同じ程度に期待できるわけではない(同様に確からしくない)ので、「1/10」は「1等が当たることが期待される程度」を表す数値とは言えません。
《最新のDX動向・人気記事・セミナー情報をお届け!》
≫≫≫DXナビ メルマガ登録はこちら