「追加代金トラブル」の解決方法と対策法
では、現実的にどのように対策すればよいのか? 実際にトラブルになった際の解決方法からみていきましょう。
実際にあった事案というのは、追加工事代金等でトラブルが生じてしまい、私のほうで介入し、契約書関係、工事内容を精査し、追加変更等に関する双方のやり取りに関する物的資料を検証し、仮に裁判になったとしたら、どういう見通しになるかを現状残っている資料から一つ一つ検証していったというものです。
結果、不動産投資家も、建築会社側も、残っている資料を基にした、私の提案した和解内容を軸に精算することに納得していただき、その件は何とか解決することができたのですが、この追加工事代金トラブルは訴訟になるケースも多く、いまでも類似の案件を抱えています。
結局、対策方法として以下の2つが非常に大切です。
(1)建築工事契約は、非常に難易度が高いものだと、双方が理解する
(2)そのうえで、追加変更内容を、しっかりと文面で残していく
一番良いのは、追加変更内容ごとに議事録を作成し、個々の変更内容ごとに工事内容の変更合意書を作成することです。建築業界でも、追加工事内容を書面化することが常に意識されてきています。
たとえば、複写式のA4の用紙を準備しておき、必ず担当者が変更工事内容とそれに対する見積額の変更等を書面に記載し、施主の署名捺印をもらい、その後、各自一枚ずつその書面を保有するというような段取りです。
ただ、実際にここまで毎回、書面に変更内容を反映するのは、建築会社側の協力がなければ、作業量的にも難しかったりします。そのため、最低でも、メールやLINE等でも良いので、「電話ではなく、文面に残す」という変更内容の証拠化作業が非常に重要です。
特に、土地仕入れ新築スキームで依頼する工務店等は、建築費を抑えるために紹介などで知った中小の工事会社に依頼することが多く、契約書関係や契約の実務に工事会社側が精通していないケースが多いです。
そのため、施主である投資家の側で、工事内容を残す、証拠化するという意識を持たないといけません。
山村 暢彦
弁護士法人 山村法律事務所
代表弁護士