賃貸物件を借りて社宅にすれば家賃を経費化
▶家賃を経費にすることは可能?
答え 〇
家賃を経費にすることは可能です。ただし、個人事業主と法人ではルールが違う点に注意してください。
■個人事業主は按分計算で経費化
個人事業主の場合は、プライベートの部分と仕事の部分をきちんと分けて計算しなくてはいけません。このような計算を「按分計算」といいます。
フリーランスなど、個人事業主の多くは自宅で仕事をしているでしょう。ということは、家賃の一定割合は経費にできます。でも、自宅は必ずプライベートにも使っているはずですから、プライベートに相当する家賃は経費にすることができません。
自宅の一部で仕事をしているのであれば、仕事部屋の面積などに応じて経費を計算します。たとえば家賃が10万円で、全部屋のうち30%を仕事部屋で使っているのであれば、3万円を経費にするといったイメージです。
■法人は借上げ社宅で経費化
法人として賃貸物件を借りて、これを社宅にすれば家賃を経費化できます。
たとえば、社長家族の住まいを社宅として用意すれば、その住まいの家賃を会社の経費にして差し支えありません。
ただし、ここで注意が必要なのは、社宅を利用する個人に一定の自己負担が求められる点です。もし自己負担がなかったり、少なかったりすると、実質的な給与とみなされ社長の所得税などが増えてしまいます。
【借上げ住宅の家賃相当額の目安】
1:小規模住宅(木造132㎡以下、木造以外99㎡以下)の場合
①〜3の合計額
①その年度の建物の固定資産税の課税標準額の0.2%
②12円×その建物の総床面積の坪数
③その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×0.22%
2:小規模住宅以外の場合
【自社所有の場合】
①と②の合計額
①その年度の建物の固定資産税の課税標準額×1%
②その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×0.5%
【賃貸の場合】
「自社所有の場合の家賃相当額」と、「家賃の50%の金額」のうち、いずれか多い金額
ちなみに社宅の床面積が240㎡を超えると、「豪華社宅」とされ、上記の算式を使うことはできません。この場合、家賃全額の自己負担が発生するので注意してください。
また、賃貸ではなく会社名義で物件を購入して社宅にすることもできますが、このときは経費の計算が複雑になります。購入した物件のうち、建物部分の減価償却費や固定資産税、ローン金利などを集計して経費にする必要があるので、賃貸のほうが手軽に節税できます。
小林 義崇
マネーライター