近年認知度が高まり、徐々に始める人が増えている「NISA(少額投資非課税制度)」。しかし、デメリットも少なくなかったことからこれが大幅に見直され、2024年から「新NISA制度」が導入されることとなりました。今回は、鎌倉投信の代表取締役社長である鎌田恭幸氏が、この新NISA制度に潜む「2つの落とし穴」を解説します。

金融教育キャンプに参加して…筆者が得た「気づき」

昨年夏、ある団体が主催し、弊社が協賛する小・中学生向けの「金融教育キャンプ」に参加してきました。2泊3日で開催されたキャンプでは、前半で金融についてひと通り学んだあと、最終日には「自分や周り、社会の困りごとはなにか」という視点から自ら事業を考え、発表するというプログラムがありました。

 

参加した子供たちは、いくぶん緊張気味のなか、一所懸命に考えた事業アイデアを披露していました。

 

たとえば、国民が健康に暮らすための保険会社を考えた小学2年生、自由に出歩くことができない高齢者などの買い物をサポートする事業を考えた小学4年生、子供の発想力を高めるための場をつくる事業を考えた小学6年生……。筆者はその豊かな創造力とたくましさに感心しました。

 

しかし、それと同時に、「子供たちのなかには、主体的に行動できる態度や生きる力はすでに備わっており、それを大人が教えるというのは、おこがましいのではないか。むしろ、その潜在的な力を“発揮させる場”が必要ではないか」と思ったのです。また、こうした子供達に、“表面的”な金融の知識を教えることは必要ない、とも感じました。

 

そこで検討に値すると考えるのが、「高校にある『普通科』といった曖昧な学科をやめ、たとえば「起業科」などといった、目的を明確にした学科を設置する」という案です。

 

大学受験を目的とした進学クラスを設置している高校はよく見かけますが、それと同じように、起業家を目指す起業科クラスをつくってはどうでしょうか。

 

そこで、金融にとどまらず、経済の仕組みや会社経営に必要な知識を学び、社会課題やそれを解決する事業アイデアを創出し、その事業を実現するために必要な語学やITなどのスキルを自ら選択して学ぶのです。実際に会社を設立したり、学生起業家が集う海外の高校に留学したりできる仕組みをつくることもよいでしょう。

 

この構想は、筆者の知人である山本敏行氏(Chatwork株式会社の創業者)が、起業家と投資家の育成支援に取り組むなかで提唱されているものですが、筆者もこの意見に賛成です。

 

時間はかかると思いますが、新NISA制度と、人の自立心や好奇心などを喚起する真の金融教育とが上手くかみ合って、個人の資産形成のみならず、日本の社会・経済の発展につながることを願っています。そこに、新NISA制度の究極の目的があるのではないでしょうか。

 

 

鎌田 恭幸

鎌倉投信株式会社

代表取締役社長

 

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