「何らかの問題がある」…人材育成に関する企業の回答
「令和2年度職業能力開発調査」によると、正社員または正社員以外に対して令和2年度にOFF―JTを実施した企業は69.8%であり、その内訳を見ると、正社員と正社員以外の両方に対してOFF―JTを実施した企業は27.2%、正社員のみに対してOFF―JTを実施した企業は40.9%、正社員以外に対してのみOFF―JTを実施した企業は1.7%でした。
またOFF―JTの実施状況を職層等別に見ると、その割合は正社員の新入社員が56.7%、中堅社員52.4%、管理職層が45.5%となっており、一方正社員以外は29.0%だったとされています。
つまり調査結果から、3割ほどの事業所がOFF―JTを実施しておらず、実施している企業においても、約4割は正社員のみを対象に実施しているということがわかります。OJTについても傾向は同じです。
令和2年度に計画的なOJTを実施した企業は全体の59.4%でした。正社員または正社員以外の両方に対して実施した企業は19.4%、正社員のみに実施した企業は37.1%、正社員以外に対してのみOJTを実施した企業は2.9%でした。
つまり約4割の企業が計画的なOJTを実施しておらず、実施している企業についても4割弱は正社員のみを対象に実施しているのが現状です。
また同調査では、企業が抱える人材育成の内容についての課題についても触れています。まず能力開発や人材育成に関して、「何らかの問題がある」と回答した企業が74.9%にものぼります。
具体的には、上位に「指導する人材が不足している」、「人材育成を行う時間がない」、「人材を育成しても辞めてしまう」などが挙げられています。さらに、労働者のキャリア支援については、キャリアコンサルティングを行う仕組みを導入している企業は全体の38.1%です。
そして内訳は、正社員と正社員以外の両方に対して導入している企業が22.5%、正社員のみに導入している企業が15.1%、正社員以外のみに導入している企業が0.5%となっています。
一方で、キャリアコンサルティングを行う仕組みを導入していない企業が61.4%で約6割を占めています。