本連載は、雑誌やウェブなど幅広い媒体で執筆活動をしているタイ・東南アジア専門ライター・梅本昌男氏の著書、『タイとビジネスをするための鉄則55』(アルク)の中から一部を抜粋し、東南アジア随一の工業国タイの地で、円滑にビジネスを行うために欠かせない知識やヒントを紹介します。

タイ人の「時間感覚」は日本人と比べると緩め!?

Q.タイの一般的なビジネスタイムを教えてください。

 

A.企業の就業時間は午前8時~午後5時(または午前9時~午後6時)が一般的です。

 

オフィスは土日が休みですが、工場は日曜のみ休みの場合もあります。日本では1週間の法定労働時間が40時間ですが、タイでは48時間です。朝の出勤に遅れてくる人が多いものの、現地では日本ほど問題視されません。

 

実際、バンコクの交通渋滞はひどく、郊外から数時間かけてくる従業員もいます。渋滞を避けるために早朝に家を出る人もいますが、誰もがそのように行動するわけではありません。バンコクではBTS(高架鉄道)やバスの乗り場に時刻表がありません。

 

このことからも分かるとおり、タイ人の時間感覚は日本人と比べると緩めです。国民性の違いとして理解しましょう。ランチタイムは一般的に正午から1時間ですが、多少延びることが珍しくありません。一方、就業時間を過ぎて残業することはあまりありません。

 

定刻を過ぎて10〜15分ほどもすると、誰もいなくなってしまいます。オフィスビルによってはエアコンを午後6時または7時に切ってしまうこともあり、残業しようにも暑くてできないという事情もあります。

コンビニ・銀行ATMは日本と同様に「24時間営業」

タイには新年が3回あります。日本の大みそかと新年に当たる「新年休暇」は12月31日〜1月2日前後、中国系市民を中心に祝う春節(1〜2月、日付は毎年変動)は休みになりません。いちばん長い休みになるのはタイの旧正月ソンクラーンであり、水かけ祭りが行われる4月13〜15日とその前後1週間ほどは仕事が動かなくなると考えたほうがいいでしょう。

 

ビザ関連の申請時に出向く移民局は月曜〜金曜の午前8時半〜正午と午後1時〜4時半までが受付時間です。銀行は月曜〜金曜の午前9時〜午後3時が基本の営業時間(銀行・支店により異なります)。またモール内の銀行は午前10時〜午後8時で週末も開いています。ATMは24時間引き出せて、預け入れも可能です。

 

郵便局の営業時間は基本的に月曜〜金曜の午前9時〜午後5時と、土曜の午前8時半〜正午になります。商店やデパートの営業時間は午前10時から夜の9時ぐらいまで。コンビニは街のあらゆるところにあります。3〜4つのコンビニが近接して建っている場所もありますが、どの店もそれなりに繁盛しています。

 

業界トップはセブン-イレブンで、タイ全土に9000軒近く出店しています。24時間営業なのはやはり便利です。レストランのランチタイムは午前11時〜午後2時、ディナーは午後6時〜午後11時くらい。

 

ショッピングモールに入っているレストランはランチ後も休憩なく営業しているのが普通です。病院は基本的に毎日(週末含む)開いていて、午前7時から夜の8、9時まで診療してくれます。仕事帰りに病院に寄りたいビジネスパーソンにも便利です。

時間に拘束されることがあまり好きでないタイ人も、タイムカードは使わざるを得ない。最近は指紋認証システムを導入する会社も。
時間に拘束されることがあまり好きでないタイ人も、タイムカードは使わざるを得ない。最近は指紋認証システムを導入する会社も。

本連載は、2016年6月23日刊行の書籍『タイとビジネスをするための鉄則55』から抜粋したものです。その後の社会情勢等、最新の内容には対応していない場合もございますので、あらかじめご了承ください。

タイとビジネスをするための 鉄則55

タイとビジネスをするための 鉄則55

梅本 昌男

アルク

積極的な外資誘致で、自動車などの産業集積が進み、東南アジア随一の工業国になってきたタイ。 東南アジアのほぼ中央に位置するため、この地域の統括拠点を置く企業も珍しくありません。日本企業の進出も多く、在住日本人数は…

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