リスクを取りたくない人は「個人向け国債」
長期分散投資は資産寿命を延ばすにはとてもいい方法です。ただし、投資信託である以上、必ず利益が出る保証はありません。
リスクを取りたくないという人は、国債を買う方法があります。「個人向け国債変動10年」であれば変動金利型ですから、物価が上昇するときは金利も上昇します。
1万円以上・1万円単位で購入でき、元本割れの心配もありません。将来の物価上昇を完全にカバーするのはむずかしいかもしれませんが、少なくとも7~8割はカバーできると思います。
まとめると、老後の資産管理の基本は、退職金を取り崩さず、緊急時に備えて預金しておくこと。さらに、その一部を購買力維持のため、自分のリスク許容範囲に合わせて運用するということになります。
銀行のおすすめ金融商品を買ってはいけない
投資信託の積み立てをNISAを利用して始める場合も、口座開設や投資信託の銘柄選びは、まずは自分で調べて勉強してください。
わからないからといって、金融機関の窓口に夫婦でいそいそと相談に行くのはやめたほうがいいと思います。退職者というのは、金融機関にとっておいしい“カモ”です。あなたが儲かる商品ではなく、金融機関が儲かる商品を勧めてくるでしょう。
退職金が入ると、まず勧められるのは「退職金特別プラン」です。これは、定期預金と投資信託を組み合わせた商品です。その特徴は、定期預金に6%とか7%といった高い金利がついています。この金利はよく見ると「3ヵ月もの」など期間限定です。
それ以降は、0.002%という通常の金利に戻ってしまいます。さらに、セットになっている投資信託もつみたてNISAのラインナップのような手数料が安い商品ではありません。購入手数料だけでだいたい3%ぐらいかかりますから、1,000万円購入すると、購入した瞬間に資産が30万円減ってしまいます。
これだったら、ただの普通預金か定期預金に全額預けておいたほうが安心です。退職金特別プランに飛びつく人は、高い金利に目がくらんで、それ以上の手数料を支払っていることに気づいていません。
そういった、知識のなさにつけ込む金融商品は世の中にたくさんあるのです。