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PTS取引(夜間取引)とは、東証の日中の取引時間を含む、朝や夜にも日本株を売買できる取引のことです。
PTS取引についてなんとなく聞いたことはあっても、具体的な取引ルールや活用方法を知っている人は少ないのではないでしょうか。
そこで本記事では、楽天証券のPTS取引に焦点をあてて、
「PTS取引はどのようなときに有効?」
「楽天証券でPTS取引をするメリット・デメリットは?」
「楽天証券でPTS取引の注文を出す方法は?」
という疑問をお持ちの方に、PTS取引の基本をはじめ、楽天証券のPTS取引の活用方法を解説します。
最後まで読むと、株式投資の注文方法のバリエーションを増やすことができ、いざというときにも役立ちます。
\PTS取引ができる数少ないネット証券/
〈目次〉
はじめに:PTS取引とは
最初に、PTS取引の基本を解説します。把握している人は読み飛ばして、「2. 楽天証券のPTS取引のメリット」に進んでください。
PTS取引は「Proprietary Trading System」の略称で、証券取引所を経由せずにリアルタイムで株式の売買ができる「私設取引システム」のことをいいます。
別名は「夜間取引」といいますが、実際は夜間以外も取引可能です。ちなみに、「Proprietary」には「独自の」という意味があります。
PTS取引の最大の特長は、日中に仕事をしている方でも、朝や夜に株式取引ができること。PTS取引で買った銘柄にも配当金や株主優待を受け取れる権利があり、株式の性質は通常の株式とまったく同じです。取引する市場が異なるだけなので、PTSで買って東証で売るといった方法も可能です。
ただし、PTS取引はメインの東証より参加者が少ないため、通常より安く買えたり高く売れたりするメリットがあります。一方、不利な価格で注文が成立したリ、銘柄によっては売買が成立しなかったりといったデメリットもあり、注意が必要です。
そのため、PTS取引を株式投資の主戦場にするのではなく、15時の取引終了後に発表になった決算などのニュースを見て先回りして売買したり、東証の取引終了後に始まる欧米市場の株価の値動きを見てリアルタイムで売買したりするなどの利用方法が有効です(詳細は5章で解説)。
■「夜間注文」と「PTS取引(夜間取引)」の違い
通常の東証での取引でも、たとえば帰宅後の夜などの取引時間外に注文自体は出すことはできます。しかし、「夜間注文」は翌営業日の取引開始時間の9時に約定(注文が成立すること)させるための予約注文に過ぎません。
一方、「PTS取引(夜間取引)」は、翌営業日を待たずにリアルタイムで売買ができます。
1. 楽天証券のPTS取引(夜間取引)の概要
早速、楽天証券のPTS取引のサービス概要を見てみましょう。
■楽天証券の「PTS取引」の概要
運営会社 |
・ジャパンネクスト証券株式会社 |
取引時間 (平日のみ) |
【ジャパンネクストPTS(JNX)】 ・8時20分~16時(デイタイム・セッション) ・17時~23時59分(ナイトタイム・セッション) 【Cboe PTS(Chi-X)】 ・8時20分~16時 |
対象取引 | ・現物取引(日中・夜間) ・信用取引(東証の取引時間中のみ) |
取扱商品 ・銘柄 |
東証に上場する国内株式 ※「お取引注意銘柄ファイル」に記載の銘柄を除く |
対象口座 | 特定口座、一般口座、NISA口座 |
手数料 | 手数料コース「ゼロコース」の設定で0円 |
取引 チャネル |
・ウェブページ(PC) |
補足説明をしていきます。
1.1. 運営会社
現在、国内にはPTS取引所の運営会社が2社存在しています(楽天証券が運営しているわけではありません)。
証券会社はPTS取引所のプラットフォームを借りて、顧客からの注文を取り次ぐ形でサービス提供をしています。
■「PTS取引所」の種類
PTS取引所の名称 | 運営会社 | 取引可能な 証券会社 |
---|---|---|
ジャパンネクストPTS (JNX) |
ジャパンネクスト証券 |
楽天証券 |
Cboe PTS (旧:Chi-X) |
Cboeジャパン(シーボジャパン) ※Chi-X(チャイエックス)から社名変更 |
楽天証券 |
1.2. 取引時間
楽天証券は「ジャパンネクストPTS(JNX)」と「Cboe PTS(旧チャイエックスPTS)」の2つのPTS取引所が利用できる唯一のネット証券で、東京証券取引所を含む取引時間は次のようになっています。
平日8時20分から23時59分(PTS取引の取扱い時間外の16時~17時を除く)であれば、東証を含む3つの取引所のいずれかでリアルタイムで株式取引ができることになります。
「夜間取引」というと、東証の取引時間終了後の夕方~夜にかけての取引のように思われがちですが、実は東証の取引時間中も裏でPTS取引が行われています。
そして、「SOR注文」を利用すれば、3つの市場から最も有利な価格を自動で探して注文を執行してくれます(詳細は「SOR注文とは」で解説)。
1.3. 対象取引
楽天証券のPTS取引は、現物取引に加えて、信用取引(入金額の約3.3倍の注文が可能な取引)にも対応しています。
ただし、PTS取引の信用取引は、東証の取引時間である9時~11時30分、12時30分~15時のみに限定されています。PTS信用取引は夜間取引ができません。
信用取引の種類
・制度信用取引:一般的な信用取引
・一般信用取引「無期限」:期限を気にせず取引可能
・一般信用取引「短期」:株主優待のつなぎ売りにも利用可能
・一般信用取引「いちにち信用」:デイトレード専用
楽天証券のPTSは、上記すべての信用取引に対応しています。
1.4. 対象商品と銘柄
楽天証券だけでなく、PTS取引の対象商品と銘柄は、東京証券取引所に上場している国内株式のみです。ただし、対象外になっている銘柄もあるので、「お取引注意銘柄ファイル」でご確認ください。
1.5. 対象口座
楽天証券のPTS取引は、特定口座、一般口座、NISA口座が対象です。
1.6. 手数料
楽天証券のPTS取引の手数料には、通常の株式取引の手数料体系が適用されます。
楽天証券では2023年10月から国内株式の取引手数料が無料になる「ゼロコース」の設定ができるようになり、PTS取引もゼロコースの対象です。
1.7. 取引チャネル
楽天証券のPTS取引は、大きく分けて次のチャネルで売買できます。
- ウェブページ(PC)
- iSPEED(スマホアプリ)
- マーケットスピードⅡ(PC)
- マーケットスピード(PC)※信用取引は不可
なお、PTS取引の注文方法の流れは4章で解説します。
\2つのPTS取引所が利用可能/
2. 楽天証券のPTS取引のメリット
現在、PTS取引ができるネット証券は、楽天証券、SBI証券、松井証券です。3社の比較から、楽天証券のPTS取引のメリットを解説します。
メリット①:2つのPTS取引所を利用できる
繰り返しになりますが、楽天証券は2つのPTS取引所が利用できる唯一のネット証券です。
- ジャパンネクストPTS(JNX)
- Cboe PTS(旧:Chi-X)
そして、日中の取引時間中であれば、東証を含む3つの取引所から選んでリアルタイムで株式の売買ができます。
また、「SOR注文」を利用すると、3つの市場から最も有利な価格を自動で探して注文を執行してくれるので、「全部の市場の株価をチェックするのは大変そう」と不安に感じる必要はありません。
・「SOR注文」とは
「SOR注文」は「スマート・オーダー・ルーティング注文」といい、東証やPTSなど複数の市場から最適な株価で約定しそうな市場を自動で選び、注文を執行してくれる方法のことです。「スマート」は「賢い」という意味です。
SOR注文の利用時間は東証の取引時間と同じ9時~15時で、発注時に「SOR有効」にチェックすると有効になります。
メリット②:東証より有利な価格で売買できる可能性がある
楽天証券のPTS取引に限った話ではありませんが、PTS取引では、東証で取引するより安く買ったり、高く売ったりできる場合があります。
なぜなら、PTSは東証より呼値(注文の際の株価の刻みの単位のこと)が細かいので、東証ならたとえば1,240円でしか買えないところ、PTSなら1,239.7円で安く買える可能性があるからです。また、東証ならたとえば1,241円でしか売れないところ、PTSなら1,241.8円で高く売れるチャンスもあります。
東証より有利な価格で売買できる可能性があるもう1つの理由として、PTS取引を利用するのは主に個人投資家で、銀行や運用会社などの機関投資家は利用しておらず、参加者が少ないことが挙げられます。
そのため、銘柄によっては板(売買注文の価格と数量を表示した情報)がスカスカ状態で、早く売買したい人が東証の株価とは大きく異なる価格で注文を出す場合もあるので、PTS取引は「価格のゆがみ」が生じやすくなっています。
また、東証の取引終了時間後の15時に好決算を発表した銘柄は、翌営業日に前日終値より大幅に上昇して始まる確率が高くなります。その場合、PTS取引で先回りして終値より若干高い株価で買うことができれば、翌営業日以降により高い価格で売却して値上がり益を狙うことも可能です。
もしくはその反対も考えることができ、保有していた銘柄が悪い決算を発表すると、翌営業日は前日終値より下落して始まる可能性が高くなります。その場合、PTS取引で先回りして売って逃げることができれば、翌営業日以降に売却するより損失が少なくて済む可能性もあります。
■ワンポイントアドバイス
東証の取引時間中は、PTSではなく、基本的には東証から発注することをおすすめします。
なぜなら、市場参加者のほとんどは日中の取引時間中は東証で売買しており、PTSとの間で“価格のゆがみ”が生じにくいからです。つまり、PTSで安く買って東証で高く売る手法(=裁定取引)が通用しにくいとされています。
\2つのPTS取引所が利用可能/
3. 楽天証券のPTS取引のデメリット
楽天証券に限らず、PTS取引は利用者が基本的には個人投資家のみなので、流動性(売買がどれだけ活発に行われているかを表す言葉)が低い点には注意が必要です。
どういうことかというと、東証の取引時間中であれば機関投資家を含む投資家が多数参加しているので注文が成立しやすいです。
しかし、PTS取引はそもそも参加者が少ないので、売り手と買い手も少なく、希望の価格で売買できなかったり、約定しないまま取引が終了したりすることも珍しくはありません。
そのため、日中は仕事で取引ができないからといって、たとえば帰宅後の夜のPTS取引だけで1億円を稼ぐ「億り人(おくりびと)」を目指すといったことは極めて難しいです。
■PTS取引の注文方法は「指値」のみ
PTS取引は流動性が低いので、「成行注文」で思わぬ価格で約定することを防ぐために、注文方法は「指値注文」のみとなっています。
4. 楽天証券でのPTS取引の注文方法【画像で解説】
楽天証券のPTS取引は、楽天証券の総合口座を持っていれば、特別な手続きは必要なく始めることができます。
PTS取引の注文方法を、次の4つの対応チャネルごとに実際の画面で紹介します。
PTS取引で発注する銘柄は、トヨタ自動車(銘柄コード:7203)です。
4.1. ウェブ(PC)
ウェブでPTS取引をする場合は、楽天証券にPCでログイン後、「国内株式」>「注文」の順に進み、トヨタ自動車(7203)の注文画面を表示させます。そして、「市場」を「JNX(もしくはChi-X)」に変更し、注文内容を入力して発注します。
4.2. iSPEED(スマホアプリ)
スマホでPTS取引をする場合は、専用アプリ「iSPEED」が便利です。スマホから楽天証券のWEBサイトに接続して売買することもできますが、アプリのほうがサクサク動きます。以下よりインストールしましょう。
「iSPEED」から発注する場合は、ログイン後、「現物買い」からトヨタ自動車(7203)を探し、「東P」ではなく「JNX(もしくはChi-X)」と書いてあるほうの「トヨタ自動車」をタップします(「東P」を選んでも、あとから変更可能)。
そして、注文画面で「市場」が「JNX(もしくはChi-X)」であることを確認し、注文内容を入力して発注します。
なお、「iSPEED」の注文画面には「シンプル注文」と「プロ注文」の2種類あり、PTS取引はプロ注文からしか発注できません。画面の右上をタップして切り替えましょう。
4.3. マーケットスピードⅡ(PC)
楽天証券のPC専用のトレーディングツール「マーケットスピードⅡ」でPTS取引をする場合は、ログイン後、「メニュー」から「現物買い注文」を選んでトヨタ自動車(7203)を探し、市場を「JNX(もしくはChi-X)」に変更して発注します。
4.4. マーケットスピード(PC)
「マーケットスピードⅡ」の初期バージョン「マーケットスピード」は、現在でも根強い人気があるPC専用のトレーディングツールです。
PTS取引をする場合は、「メニュー」から「現物買い注文」を選んでトヨタ自動車(7203)の注文画面を表示させ、市場を「JNX(もしくはChi-X)」に変更して発注します。
\スマホでもPTS取引が可能/
5. PTS取引を活用するヒント…騰落率ランキングを見るには?
繰り返しになりますが、PTSは東証より取引が活発ではなく流動性が低いため、PTSをメインに売買して大きな利益をあげることは難しいです。
それでは、PTS取引はどのように活用すればいいのでしょうか?
正解は一つではありませんが、「PTS取引の騰落率ランキング」をチェックし、注目している銘柄が翌営業日に上昇して始まるのか、もしくは下落して始まるのかを参考にする方法があります。
どういうことかというと、東証の取引終了後の15時に発表された決算を見ても、予想数字を下回れば黒字でも株価が下落することもありますし、予想数字を上回れば赤字でも株価が上昇することもあります。そして、東証の「適時開示情報閲覧サービス」の見出しや発表された内容を少し読んだだけでは、株価がどう反応するかはわかりません。
そこで役に立つのが、PTS取引だけの騰落率ランキングです。
PTS取引の騰落率ランキングは、以前はモーニングスター社のサイトでチェックできましたが、2023年3月29日でサービスを終了。現在は、「バフェット・コード」などのサイトでチェックできます。
ただし、翌営業日の東証の始値がPTSの終値と同じで始まるわけではありません。
PTS取引の騰落率ランキングは、自分が保有していたり購入しようか迷っていたりする銘柄が、(ニュースの影響を受けて)翌営業日に前日終値より上がって始まりそうか、下がって始まりそうかを知るヒントの1つに過ぎません。
ニュースとランキングと翌営業日の値動きの相関関係を分析して、銘柄選びにお役立てください。
6. PTS取引ができるネット証券3社を比較
PTSで株式の現物取引ができるネット証券には、楽天証券の他にSBI証券と松井証券があります。
3社のPTS取引の特徴を比べたの次の表です。
■PTS取引ができるネット証券の比較
証券会社 | 取引所 | 取引時間(現物取引) |
---|---|---|
・JNX ・Cboe PTS |
・8時20分~16時 ・16時30分~23時59分 |
|
・JNX | ・8時20分~16時 ・16時30分~23時59分 |
|
・JNX | ・8時20分~15時30分 ・17時~23時59分 |
ご覧のように、楽天証券のみ2つのPTS取引所を利用できます。ご自身で使い勝手を比べてみてください。
\国内株式個人取引シェアNo.1/
7. よくある質問
最後に、楽天証券のPTS取引(夜間取引)に関するよくある質問に5つ回答します。
Q1. 楽天証券のPTSは、土日や祝日も取引できますか?
できません。PTS取引ができるのは、東証の営業日のみです。
Q2. 楽天証券のPTSは、投資信託や外国株も取引できますか?
できません。PTS取引は、国内株式のみが対象です。
Q3. 楽天証券のPTSで取引できる銘柄は少ないですか?
基本的には、「お取引注意銘柄ファイル」に記載されている銘柄を除くすべての東証銘柄がPTS取引の対象です。
ただし、東証で出来高が少ない銘柄はPTSではさらに出来高が細るので、PTS取引で約定するとは限りません。
Q4. 楽天証券のPTS取引ではチャートは見れますか?
はい。PTS取引でも通常の株式取引と同じようにチャートを見ることができます。
ただし、出来高が少ない銘柄は、ローソク足ではなく、点だけのチャートになることも珍しくはありません。
Q5. 楽天証券のPTS取引の「約定日」と「受渡日」はいつですか?
約定日(注文が成立した日)は取引をした当日で、受渡日は約定日から起算して5営業日目です。
また、PTS取引でも配当や株主優待などの権利は得ることができます。しかし、権利付最終日のナイト・セッションでの買付は、翌営業日の8時20分から16時の間の日中取引と同じ扱いになるので、配当や株主優待などの権利を得るためには、権利付最終日の前営業日のナイト・セッション(17時~23時59分)までに買付する必要があります。
8. まとめ
この記事では、楽天証券のPTS取引の活用方法について解説しました。
PTSは流動性が低く、日中の東証の取引と同じように売買することはできません。しかし、使い方次第では取引チャンスが拡大し、株式取引を有利に進めることも不可能性ではありません。
ただし、仕事から帰宅後、PTSチャートと睨めっこして取引チャンスを毎晩伺うのは疲弊するのでやめましょう。
保有している銘柄に関するニュースが15時の大引け後に出て値動きが気になる場合や、日中にストップ高やストップ安になった銘柄をPTSでどうしても売買したい場合など、ここぞ!というときに活用することをおすすめします。
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